ごみ箱のない部屋

ごみ箱のない暮らしに慣れるとなかなかいいものです。床に置くものが減って床が広くなるし、ごみが出れば都度ごみ袋のある場所へごみを捨てにいく必要性ができて、身体を動かすことになります。こまめに動いてわずかでもカロリー消費量を上げたい私には絶好の環境です。

部屋にごみ袋スペースは2ヶ所あります。1ヶ所目はキッチンのシンク扉。セリアで買ったパンダのごみ袋フックをつけて、福岡市指定可燃ごみ袋をぶら下げています。出るごみのほとんどすべては可燃物なので、たいていはそれだけで済みます。

2ヶ所目は洗面所。洗面器の端に小さなポリ袋をセロテープで貼りつけてごみ箱代わりにしています。野菜や果物、肉、魚などを買ったときにもらう袋の出番。メイク落としに使ったコットンや綿棒、使用済みのフェイスマスク、風呂場の排水溝に溜まった髪の毛などを捨てるためのごみ袋です。

ワンルームのコンパクトな部屋でのひとり暮らしなので、これだけで十分。インテリアに関心があった昔は、引っ越しのタイミングやそのときどきの好きなテイストや気分に合わせて、ごみ箱を買い替えていたものです。

木製の高価なごみ箱をふたつ置いていたのは印象に残っています。ひとつ7,000円以上した記憶が……。今通っているキックボクシングジムの2ヶ月分の会費じゃないかと愕然とします。今の感覚では「もったいない」と思ってしまいます。

当時はごみ箱=必需品だと思い込んでいたようです(そして、おしゃれなものを置きたいというこだわりが強かった)。でも「これは必要」「これは不必要」と決めてかからなくてもいいのではと、考え方を自由にしていくうちに気づきました。

というのも「不変」なものなんて存在しないからです。最近の話ですが、私の会社がかなり長い年月、継続して受けていたある案件が秋に契約終了することになりました。担当社員に対しては「どんな案件もいつかは終わる」という話をしました。

これは仕事だけではなくて、お店や人間関係などすべてにおいていえることです。人や物事すべては常に変わり続けているので、同じことが同じように続くと考えてはいけない、と解釈しています。

抽象的な話になりましたが、話題をごみ箱に戻します。生活の仕方やサイズ、考え方などが変われば、やっぱりごみ箱は必要と思うときが来るかもしれません。根っこの部分が変われば、それに伴って行動も変わるということ。柔軟な人でありたいと思います。

Text / Sonoko Ikeda