現在私は、築30年超の賃貸マンションに家族4人で暮らしています。
下の子が巣立つまでは最低でも10年以上あり、今後も長く福岡に住む可能性が高いものの、家を買うという選択肢は未だにありません。
ファミリー向けマンションの家賃は決して安くなく、毎月支払っても自分のものにならないため「もったいない」と周囲からよく言われます。
メリット・デメリットで比較されることが多い「賃貸 vs 持ち家」論争。
もったいなかろうが、私は「ストレスの大小」で住まいを選びます。
今の私が「賃貸暮らし」を選ぶ理由を、改めて考えてみました。
住まいへの支払いは最小限で済ませたい
子どもの成長に伴い、必要な家の広さは変わってきます。
長い人生のなかで、子どもたちと暮らす年月はほんのわずか。
その期間に合わせて家を選ぶと、支払う金額は増え、部屋も後々余ることに。
持ち家でも引っ越すことはできますが、売却や書類等の手続きを面倒に思う我々夫婦にはハードルが高すぎます。
家族の人数や収入、通勤通学に合わせて住まいを選び、支払いは最小限で済ませたいです。
管理が楽
賃貸暮らしで助かるのが、部屋のトラブルが電話1本で片付くこと。
40代で既に管理に対して面倒に思っているため、年老いてからの管理はさらに難しくなるでしょう。
家のメンテナンスに関する業者からのしつこい勧誘も「賃貸なので私に選ぶ権限はありません」の一言で済ませられます。
家を資産として考えていない
親に感謝していることのひとつが、持ち家がないこと。
親が高齢になるにつれ、実家の処分に困っているという話をよく聞きます。
「老後収入がなくなっても暮らす場所があれば助かる」と言われることがありますが、それは自分で身の回りのことができる前提ではないでしょうか。
老後のことを考えるからこそ、住まいに固執せず、例えば「高齢者向け住宅」や「老人ホーム」などのためにお金を貯めるのも一つの手段だと考えます。
家族全員が独立して暮らす未来
相棒である夫と、私の世界を広げてくれる子どもたちは大切な存在です。
ただ、自分が家族の中心でいることや、常に自分以外の誰かを気に掛ける生活に疲れるのも事実。
自分が選んだ道で後悔はありませんが、母であり、妻である自分ではなく「その他大勢」の誰でもない時間を過ごしたいと願うようになりました。
家を購入してしまったら、死ぬまで家族のための役割を与えられるようで、まるで足に長い鎖(遠くには行けるけど、完全に離れられない)をはめられる気分になりそうです。
結果的に同じ場所でずっと暮らす人生になったとしても「いつでも好きなところで暮らせる」と「ずっとここに住まなきゃいけない」と考えながら住むのは全く別物。
家族それぞれが自分の世界を持ち、人間関係を築き、独立した暮らしを送るのが私の理想です。
夫婦だって、例えば「同じマンションの別の部屋」や近所に住み、困ったときに助け合う距離間でもよいと思っています。
と、ここまで書きましたが先のことはわかりません。
すぐに何かに影響される性格なので、来年には家を購入している可能性もあります。
ただ、住まいを選ぶ際に大切にしているのは家や土地の価値ではなく、自分がどれだけその場所で心地よく過ごせるかということ。
ストレスなく自由な心で過ごせるのなら、デメリットと言われることだって楽しめるはず。
家に限らず何か決断するときも、ストレスが少ない方を選ぶようにしています。
Text / Asako Yano
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