今回の「ちょっといいごはん」。
いつもはお店からご紹介するのですが、今回は本から紹介します。
この本からまず料理人 道野 正 氏のことを知りました。そして、文章の素敵さから彼の料理を食べてみたいと思ったのが、もう数年前のコロナ禍でした。
本を読了する前に食べたくなって、お店に伺ったのが最初のことでした。
ぜひ手にしてほしい一冊です。料理の写真がとにかく素敵。文章に温かみを感じて人に勧めたくなる本です。
本を読んでいる途中で多忙になり、3分の1まで読み進めたところで積読していたのですが、数年の時を経て再度読み始めました。
読み進めるとやっぱり彼の料理が食べたくなって、今度は半分くらい読み進めたところで、二度目の予約をとったのでした。
というわけで今回のお店は福島の「ミチノ・ル・トゥールビヨン」。
トゥールビヨンというと機械式の精密な時計をイメージされる方もいるかもしれませんね。
たくさんの部品を精巧に構築しないと成り立たない時計と道野さんの料理。一度体験していただきたいお店です。
JR福島駅から徒歩5~10分程度。この日は大雨でしたが、雨の日もひっそりとイイ感じのお店。
名前を言って通された席はなんと初めて来たときと同じ席。なんだか謎にうれしい。
パートナーはオレンジのワイン、自分はピンクコーラ(マダム特製で、スパイスの香りが立っていて食欲が出てきます)。
コースの内容はサイトから確認できます。
まず一品目。桜鱒のこんがりとした焼き目のついたパリパリの皮目にレアな身。
ソースはさっぱり生野菜とソースと桜鱒を一緒に食べても美味しい。
でも、出てきた瞬間の見た目の美しさもあり、一品目から特別な食事をいただいている別世界にやってきた気分にさせてくれます。ウキウキするコースの始まり!
二品目、トウモロコシの冷製ポタージュスープにコンソメのジュレとぷりぷりの海老が乗っています。
これまたスープのおいしさに度肝を抜かれます。今まで食べてきたのはなんだったんだっけ!?
また、海老のぷりぷり感、コンソメジュレと一緒に食べることで違った楽しみ方が。
ひとつの皿でいろいろな楽しみ方ができてしまいますが、一品の魅力に引き込まれてしまいます。
三品目、コースではイノシシになっていますが、僕はジビエが苦手と伝えていたら、たまねぎと鱧の一皿が。これまた美味しい!
鱧とたまねぎ、合うんだなぁと思うは反面、和食でしか鱧を食べたことがないことに気づきます。高級食材のイメージがあり、家庭でよく食べる食材でもないことから、洋食で鱧が出てくると目新しい感覚に。
メインももちろん美味しかったのですが、それよりもお伝えしたい一皿があります(メインディッシュは写真載せときます! コニャックのソースの香りと粒の胡椒が最高のお肉料理でした)。
鮎のコンフィをマスカルポーネで整えてココアパウダーを振ったティラミス。クルトンに乗せて食べます。これ、きちんとティラミスなんです。不思議な一品!
エスプレッソの苦味と鮎の苦味がリンクして塩味があって、一皿として成立しているのはさすがの一言。
Instagramでこの料理の解説が見られるので味わいもひとしお。いい体験でした。
今回はミチノ・ル・トゥールビヨンをご紹介しました。
本を読めば必ず行きたくなるお店です。本、お店ともに何度も味わって体験したい、そんな思いが伝われば。ではまた。
Text / Dr.Taro
▼Dr.Taroさんによるコラムを他にも読む▼