他人は変えられない。「球体思考」で私を変える

2年ほど前から「陰陽五行論」を学んでいます。
陰陽五行論とは、陰陽説(自然界全てのものは「陰」と「陽」の相反する二つの原理によって成り立つとの考え方)と五行説(万物は木・火・土・金・水の5つの要素から成り立っているという思想)が融合した東洋哲理です。
年齢や職業などさまざま々な人と共に学ぶ時間は刺激的で、自分の世界が深く広がっていることを実感しています。

この2年間の学びで私に備わったのが「球体思考で物事を捉える」ということ。
平面ではなく、球体のようにあらゆる方向から見て物事を判断するようになりました。

誰かの発する言葉や態度というのは、その人のほんの一部であることをつい忘れがちです。
そして言葉の受け取り方も、違って当然。

以前クラスの中で、単語一つから何をイメージするかディスカッションしたことがあります。
「教育」「がんこ」「名誉」「おおらか」「平和」など、馴染みのある言葉ばかりです。
それにも関わらず「そんなこと思うの?」と驚くほど、人によって言葉の受け取り方が違いました。
そうなると、育った環境、家族、人間関係、仕事……と全く同じ条件で生きている人がいない世の中で、些細な言動で人間関係が良く/悪くなるのは決して不思議なことではありません。

また、物事には良い面と悪い面、両方あるということも、普段から意識するようになりました。

私が住むマンションの裏には林があり、多種多用な生き物の住処となっています。
夏になるとベランダにカブトムシがやってきて、時にムカデに刺され、外の廊下をゲジゲジが這っているような、良く言うと自然を感じられる場所です。

この部分だけを聞くと、想像だけで気が滅入る建物かもしれません。
しかし別の角度から見てみると、そうでもないことがわかります。

林がある場所は、もちろんアスファルトではなく土です。
木々のおかげで陰ができ、土のおかげで地面に熱が溜まることがありません。
気温が高い日でも心地よい風が窓から入るため、クーラーをつけ始めるのが同じ福岡市内に住む友人より2週間近く遅い年があるほど、自然の恩恵を受けています。

同じ場所を二方向から見るだけでも、受け取る印象は変わります。

言葉や態度一つだけを受け取って判断すると「〇〇はダメ」「〇〇は悪」といった、極端な考え方に傾きやすいです。
自分が信じるもの以外を受け付けず、考えの違う人を拒むことを過去の自分がしていた経験があるので、物事の一部だけ見て判断することは自分の視野を狭めることだと痛感しています。

ネガティブなことを無理やりポジティブに受け止めるのではなく、自分に起きたことや他人の考えを
「ふーん、そうなんだ」
と、一旦受け止めて多方面から見て考える。
相手を深く知ることで、新たな改善方法が見つかることもあります。
何より一時的な感情に支配されないため、ストレスが減りました。

変えるのは、起きてしまった物事をどう受け取るかという自分の考え方。
他人を変えるより、はるかにラクです。

人生をより深く、豊かにするための学びは、まだまだ続きそうです。

Text / Asako Yano

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