ヒトとの出会い・モノやコトとの出合いには意味があると思っています。
週末、血を抜きたくなって(デトックスの意味で)、久々に成分献血に行ったんです。
その往路と献血中に読み終えた『生きのびるための事務』(原作・坂口恭平、漫画・道草晴子)が今の私に必要な、出合うべくして出合った本でした。
自分がやりたいことを実現するためには、未来の現実(※夢ではない)を書き出して、スケジュール管理、必要なお金の確認、継続する仕組みづくりをしていくことが必要である。それが「事務」であり、事務を制する者が理想の未来に近づいていく——。
本書ではそんなお話が、20代前半の坂口さんと、自身の中に生まれ共存している“事務の作家”でもある「ジム」とのやりとりとして、漫画で展開されていきます。
最近、この先の人生を考える過程で、私も自分がどんな未来を生きていたいのか、何をしたいのかがおぼろげながら見えてきました。
書くことをはじめとした表現活動は続けていきますが、いわゆる一般的な意味でのライターを引退して、別の仕事をつくって小さな商いを展開する未来。
これからやることが増えるぞと考えると、「堕ち期」とはしばらく離れられそうな気もしています。むしろ未来の現実を考えていると、堕ちている暇はないというか。
未来の現実に向けた環境整備を進めていくのは楽しい時間です。未来志向でありたいと思います。
本書は「継続」についても多くの頁が割かれています。坂口さんは「続けられること=才能がある」と定義しています。
何かをつくってそれが売れたり、人としてブレイクしたりするのは「評価」されているからで、才能とは関係ないとも。
その定義に則ると、この「SAVOR LIFE」という媒体を毎日更新し続けている、書き続けている点で、私はひとまずは「書く才能」を持っていることになります。
誰からも頼まれていないのに、お金が発生するわけでもないのに、日課のように書いているわけですから。
ただ、それを仕事にするには評価も必要だからこそ「誰にどう評価されればよいのか?」を考えて実行していくのが事務だということです。
私はスタート地点には立っている。あとは事務を通じて現実化していくのみ。そう前向きになれる本でした。
Text / 池田園子