上質な革靴の寿命ってどれくらいなのでしょう。日常的にケアをしていた場合、していない場合とで、どれくらい違ってくるのでしょう。
私の靴は後者です。2016年に買って頻繁に履いていた「Pertini」の靴をついに手放しました。8年でお別れ。
最初に「兆候」が現れたのは6月半ばのこと。大阪駅構内を歩いているとき、右足に違和感をおぼえたのです。
靴が地面と接触するときペタペタする……。変だなと思って足元を見ると、つま先部から靴底が10cmほど剥がれかけていたのでした。
時間帯はちょうど夕方。大阪市内で用事を済ませたあと、神戸へ移動することになっていた日です。
合間にミスターミニットに寄って、靴用のボンドで応急処置をしてもらおうと計画しました。
しかし、予定とは立てたところであまり順調に進まないもので、時間の余裕がなく、そのままの足で神戸へ。
ペタペタ音を立てる靴の扱いに若干慣れて、帰宅するまで転びもせず、なんとかやり過ごしたのでした。
その翌日、靴底を自宅にあった「一般的なボンド」で貼り合わせます。
最寄駅のミスターミニットに持ち込めばいいのですが、ひとまず普通のボンドで貼るとどれくらいもつのかを知りたかったのです。
革靴の底が剥がれたのも、ひとつの靴を8年近く履いたのも初めてだったから。
それから1〜2回はこの靴を履きました。しかし、手持ちのボンドは弱く、再び底が剥がれたところで、ようやく近所のミスターミニットへ。
修理代は9,000円と伝えてくれる店長さん。しかし、まだ言葉を続けます。
「ただ、革が破れかけているので、靴底を替えても(靴として)あまりもたないかもしれませんね」
確かに、よく見ると表面に損傷が生じていました。これは私がほとんど靴磨きをせずに履いてきたこと、それによって乾燥が進んだことに起因しています。
靴磨きセットは一式持っているのに面倒に感じて、表面をボロ布で拭くくらいしかしていませんでした。
自身の利益を無視して、善意でそんなふうに言ってくれた店長さんにお礼を伝え、結局修理はしないことにしました。
お別れを選択したのです。
そして、次に迎える予定のtrippenの革靴は月に一度はお手入れを行い、もっと長持ちさせたいところ。
Pertiniのとんがり靴、これまでありがとう。
Text / 池田園子