上質な扇子がひとつあると幸せだ。

風を起こすのに扇子を愛用しています。

幅広い世代に流行中の携帯扇風機(ハンディファンというらしい)を使うことはないでしょう。

どこでも見かける携帯扇風機に比べて、扇子を使う人を目にする機会は減りました。

でも、ときどき出会い、私と近い考えなのかなあと思います。

なぜ「古き良き」扇子をあえて使うのかというと、風情を感じる品だから。

電池や充電も不要で、安価なモノでもなかなか壊れません。

昔、百均で買った扇子を持っていたことがありますが、それも丈夫でした。扇子の製造工程を知ると、100円で売られることに疑問を抱くほどです。

今私が使っているのは、パートナーが3年前に贈ってくれた京都「白竹堂」の京扇子で、あとで調べてみたらけっこうな高級品であることがわかりました。

全88の工程を京都・滋賀の職人が仕上げる扇子を京扇子というそうです。

そこまでたくさんの熟練した技術が結集されているからこその優美さ、美しさを心地よく感じながら使っています。

使っていて気分が上がる品で身の回りを固めたいものですが、その扇子はまさにそんな一品。

そして、3年経つにもかかわらず、未だにお香の良い香りがします。夏限定の携帯品とはいえ驚きです。

きっと死ぬまで使うことになるでしょう。

Text / 池田園子