ダイニングキッチンの窓から差し込む朝の光を浴びながら、冷蔵庫を開ける。前夜に仕込んでおいたオーバーナイトオーツが待っている。
ここ最近、オーバーナイトオーツに茶葉を加えるという新しい習慣を取り入れた。飲み物としてのお茶は茶葉から出るエキスだけを楽しむものだけれど、残された茶葉にもまだ豊かな栄養が眠っていると聞いたことがある。
多様なティーバッグから取り出した3gほどの茶葉や、時にはアッサムティーの茶葉をスプーン1杯加える。夜のうちにオーツと一緒に浸しておけば、翌朝にはその風味がほんのりと広がっている気がする。香りはほとんど感じられないが、その存在感は確かに感じ取れる。
豆乳や甘酒、プロテインが混ざり合い、クリーミーに仕上がったオーツに、お茶のわずかな苦味が溶け込み、全体が優しく引き締まる。この微かな苦みが目を覚ますにはぴったり。
カフェインの摂取量も気にならない。ほんの少量だから、身体に無理をかけることなく、お茶の恩恵を丸ごと享受できる。
茶葉をそのまま食べるという行為には、一種の贅沢さがある。今まで捨てていたものを、身体に良い形で取り込んでいるのだという発見。野菜やフルーツは基本ホールフードでいただくからその延長でもある。それは、ほんの小さな工夫だけれど、朝の一口一口に特別な意味を与えてくれる。
オーバーナイトオーツに茶葉を加える、ほんのひと手間。それはささやかながらも、私にとって新しい楽しみのひとつとなった。茶葉の確かな存在を感じる朝、それは穏やかで贅沢な時間の始まりを告げている。
Text / 池田園子