八尾「鮨 國松」【Dr.Taroのちょっといいごはん】

今月の「ちょっといいごはん」は鮨。
赤酢のシャリやら熟成鮨などいろいろな鮨が出てくる中で、今回のお鮨屋さんはオーソドックスなお鮨。

奇をてらう一品はないけれども、もう一貫もう一貫……と食べ続けたくなるような、そんなおまかせコースでした。

つまみ4品、鮨10貫に汁物がついて9,800円。JR八尾駅すぐの「鮨 國松」さん。大満足のコースです。

一品目は辛味大根とトロ。

まぐろの脂の甘みをメインに感じられる一品。辛味大根と混ぜて食べます。
まぐろの質が良すぎて大根の辛味がもっとあっても良かったかも。
福井県の辛味大根のそばが有名ですが、大根の辛味は福井県に軍配。もしかするとあの大根がこのまぐろにマッチするのかもと素人ながら妄想を膨らませながらペロリ。

お次はカツオの藁焼き。
藁のかおりで店内が包まれます。食べ慣れた常連さんも絶賛していたカツオの質。うまみが強くまたワサビが合う。塩とわさびで食べるカツオはメインを張れる魚です。醤油でも食べてみたい食いしん坊な自分が出てきて、3切れくらい欲しくなってしまいました(切り身2つだった)。でも、のちのち満腹になるのでこの量でちょうど良かったことに気づきます。

煮アワビをキモソースで食べたあとは新さんま。

このさんまには驚かされました。骨をきれいに外してくださっていて、すだちをかけて食べるこの青魚のうまみと香りとが口いっぱいに広がります。今年の秋刀魚は豊漁なようで、お鮨屋さんじゃなくても皆さんに召し上がってほしい秋の魚です。

ここから握りに。
赤身、こはだ、かさご、いか、げそと続いていきます。

自分は青魚が好きなのか、こはだのコクと香りにはやっぱり感動してしまいます。
またイカの柔らかさ。お鮨屋さんのイカって、というより國松さんのイカの握りのレベルがすごいような。弾力を持ちつつ歯がスッと入っていく柔らかさ。うまみも強くてシャリの相性ともばっちり。シャリもすぐにほどける握り、お見事。

聞けば大将、まだ25歳と。若さにびっくりしますが、一品一品の味の貫禄がすごいなぁと思いながらペロリ。

鮎の握りは食べたことがなかったですが、炙って出てきました。
肝を擦りおろして作ったペーストをワサビのように使っていました。

ウニ。小川のウニ。安定のおいしさ。
特筆すべきは海老。少しパサつくお鮨屋さんも多い中で、こちらのは最後までしっとり。丁寧な仕込みがあってこそ。今まで自分が行ったお鮨屋さんのお鮨を思い出しながら食べるって楽しいなと思う瞬間です。このあとマグロと煮穴子が出てきて、クライマックスの太巻き。

これまで魚の柵を薄く切ってネタを仕込んでいる様を見てきました。
柵の切れ端を集めて豪華な太巻きを作ってくださいました。なんでこんなに豪快に切るのかな、もったいないなぁと思っていたのですが、最後に太巻きにするためだったんですね。これまでのつまみや握りをもう一度プレイバックするかのように、いろいろな魚の味を確かめながら食べる太巻きは本当に美味しく、満足感の高い締めくくり。

鮨のコースを大阪のど真ん中で食べようとすると、どうしても15,000円くらいは覚悟しなければならないなかで、この値段で提供してくれるうれしさ。大将の若さもあって今後が非常に気になる、また行きたいお鮨屋さんです。皆さんもぜひどうぞ!

Text / Dr.Taro

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