縁を手放して、大切な人との時間を守る

人生は有限です。特に中年期に差しかかると、その限られた時間の重みをますます感じるようになります。残りの時間をどう生きていくか? どうありたいか? について考えることが増えたような気がします。そのとき、自然と浮かんでくるのは「誰と時間を共有すべきか」という問いです。自分にとって大切な人々との関わりに全力を注ぐには、時に不要な人間関係を整理する必要が出てきます。

40代を目前にして、人生の折り返し地点なるものを意識します。ストレスを抱える人間関係や自分を消耗させるような相手からは、意識的に距離を置こうとする発想へと切り替わっています。そういった関係に時間を費やし続けることで、仕事のパフォーマンスはもちろん、自分にとって本当に大切な人たちに対し、全力で向き合う余裕が削られてしまいます。

不要な人間関係を切ると聞くと、冷たく感じられるかもしれませんが、これは自己防衛であり、健全な選択。わざわざ断絶を宣言する必要はなく、ただ静かに距離を取っていけばよい。自然と疎遠になることもありますし、あえて「絶交しよう」などと言わなくても、人は去るものです。また、新たに出会う人に関しても、自分にとってよい関係性になるか否かを慎重に見極めることが求められます。

たとえ無意識にでも、ストレスを抱える人間関係に引きずられてしまうと、大切な人たちに費やしたいリソースが分散され、自分自身に対しても十分なケアができなくなります。長期的には人生全体の質に悪影響を及ぼすことに。

不要な人間関係を整理することは、自己成長や幸福を実現するために欠かせないプロセスです。人生の質を大きく左右するのは時間の使い方。今からでも遅くはありません。自分を大切にし、本当に関わるべき人々との関係をより深めることに集中していくことが、さらなる幸せをもたらすと思います。

Text / 池田園子

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