「もし自分のもとに1億円が入ってきたとしたら、どう使うか」。突拍子もないと思われるかもしれませんが、最近そんなことを考える機会がありました。
「億」は会社の年商を除くと縁のない桁です。しかし最近「億女」と呼ばれる、数億〜十数億円の年商を稼ぐ女性起業家たちの発信にふれる機会があり、そんな身近ではないことに想像を巡らせたのだと思います。私個人の年商は1,000万円台の域を超えた経験はなく、億どころか数千万円という額も未知でしかありません。ただ「億単位のお金とは?」をまじまじと考えたとき、自分はどう使うか決めるのは自由であり、知らない世界だからこそ興味深いなと感じて妄想を楽しんだのです。
手元に1億円がやってきてくれたと仮定するならば、最初にやりたいことは明確です。賃貸派としてやってきましたが、ここで土地を買って建物をつくります。敷地内に賃貸物件(Airbnb的な展開もあり)と離れの一軒家を建てるのです。賃貸は不労所得を生み出してくれる資産として、一軒家は自宅兼仕事場、多目的スペースなど、住む場所であると同時に、人が集まれる場所を持つ、いわば「ひらかれた家」を目指します。最近参加したイベントで耳にした「住みながらひらく」在り方と同様の考え方です。
具体的には、家の一部をイベントスペースとして使える間取りにし、自分自身が何らかの催しを主催できる場として活用したいと考えています。
東京にいた最後の年、自宅のキッチンで子ども食堂の活動をひとりでしていました(コロナ期だったため、自宅で食べてもらうことは叶わず、お弁当として持ち帰りいただいていました)。友人のカフェバーを間借りして、スパイスカレーをふるまっていたこともあります。当時はプラントベースの食事にハマっていたので、どちらも植物性の食材で構成していました。
今は動物性食材もふんだんにいただきますが、そういった「健康的な料理を提供する活動」を拡大していきます。料理をつくる余裕が心身ともにない人、簡単だけれど栄養価の高い料理を知りたい人などに食べにきてもらい、家で自ら料理をして自分という器を大事にする人を増やす手伝いをしたい、と思っているのです。
自分中心のイベントだけではなく、近所の人々がその空間を使ってイベントを開催できるようにもします。人が自然に集まり、出入りできる風通しの良い場所をつくりたいのです。
一方で、自分たちが家で仕事をできるスペースも必要です。そして、今は小さな賃貸住まいで叶えられていない、猫がのびのびと縦横無尽に動き回れる空間も確保したい。そういった意味で、パブリックな空間とプライベートな空間をうまく共存させる物件を設計したいと思っています。
そんな建物をつくることで、ただ自分たちが快適に暮らすだけではなく、他の人々にもその一部を提供し、そこから新たな価値が生まれると考えています。そこに集う人々との出会いから、うれしい化学反応が多数見られるだろうとも思います。
場所をつくる=人間関係やつながりをつくること。家という形のあるモノにお金を回しつつも、それは巡り巡って形のないモノ、具体的には人との出会いや関係性への構築につながります。今は「暮らしながらひらく」場所をつくることが、自分にとって1億円の使い道として最も価値があるのではないかと感じています。1億円、どうか巡ってきてください。自分だけでなく、周囲にも価値提供することを誓います。
皆さんは1億円が手元にまるっと入ってきたら、どう使いますか? リプライやリポストなどでぜひご意見を聞かせてください。
Text / 池田園子
【関連本】『ローカルクリエイター』