パートナーと男友達、どちらも必要。

日常をともに過ごすパートナーとの時間は、安定感や安心感をもたらしますが、毎日一緒にいると会話が盛り上がらないこともしばしばあります(笑)。食事中はラジオや音楽をBGMに彼「美味しいね(ニコッ)」、「良かった。美味しいよね(ニコッ)」という料理の感想以外ほとんど言葉を交わさず過ごすことも多く、1時間後には忘れてしまうようなどうでもいい話題で爆笑して終始することも。

趣味や好みが一致する部分もあるものの、興味関心の範囲や物事の捉え方も異なるため、日常における話題が尽きることは自然なことだと感じています。もちろん、毎日豊かな会話を楽しむカップルもいるでしょうが、私たちの場合はそうではありません。盛り上がるときはとても盛り上がって数時間話し込むこともありますが、波があると言ってもいいと思います。大体は穏やかで静かか、くだらないことで腹を抱えて笑っているかのどちらかです。

一方で、たまに会う男友達との食事は、非日常のひとときをもたらしてくれる貴重な時間です。久しぶりに顔を合わせることで、蓄積されたりアップデートされたりした話題を互いに引き出し、新鮮な感覚で会話ができます。それぞれ共通の興味を持つテーマで盛り上がり、パートナーとの日常では得られない種類の興奮を感じられるのです。

この話題は彼と話す、あのテーマは彼担当、この珍妙な話題は彼としか話せない……というふうに、私の中で「◯◯はこの人」と明確にあって、それらはパートナーとの会話ではなし得ないもの。そんなの当たり前です。ひとりの相手と自分が話したいすべての話題で楽しく語り尽くすなんて不可能。だからこそ、分散の発想です。

数ヶ月に一度、あるいは年に数度ほどのペースで会う男友達は数人いて、彼らとの時間は日常に新たな風を吹き込んでくれる感覚があります。私自身、飽きっぽいところがありながらも、平穏な生活を大切にしたい。でも、刺激も欲しい。そんな欲張りな性質があるため、こうした時間は欠かせません。

ただ、極端な話、毎日彼らと会う関係になれば話題は尽きて、パートナーとの日常のようにさほど盛り上がらない、静かな日が標準になるでしょう。絶妙な頻度で会うことにこそ、特別な価値があります。

パートナーとの安定した日常と、男友達との非日常をバランス良く取り入れるのは、間違いなくいいとこ取りです。それぞれ異なる意味があるからこそ、どちらも大切にしていきたいところ。同じく、パートナーにも女友達を含む仲間との非日常を持って、別種の豊かな時間を過ごしてほしいと思っています。

Text / 池田園子

【関連本】『男ともだち