半分に分けて、倍の幸せに包まれる。

「誰かと分けて食べる」という行為は、カロリー管理の手段以上の意味を持っています。ときどき、ちょっといい和菓子や洋菓子を買っては、昔は「丸々ひとつ食べたい」という食欲に支配されていました。しかし、最近は少し大人になったのか、摂取カロリーや栄養成分のことを冷静に考えるように。食い意地の塊だった私にとって信じられない現象ですが、今は丸々1個食べなくてもいいし、半分でも十分に満足できると感じるようになったのです。

パートナーと一緒に毎日食事をするようになったことが、その考えに影響を与えました。今は時折、食後にひとつのお菓子を半分に分けて楽しむようになっています。ふたりで同じものをシェアすることで、ただ美味しいと感じるだけでなく「どこで買ったの?」といった会話が生まれたり、「季節感があっていいね」といった何気ない話ができたりします。

食事をシェアすることで、単に一緒に食べるという行為以上に、同じ体験を共有することができます。先日は「喜八洲総本舗」のどら焼きを分け合って食べました。その味や食感を共に感じ、同じ時間を過ごす楽しみが生まれます。そして、その共有体験はお互いの気持ちをより豊かにしていると感じます。

ひとりで全部食べるのももちろん幸せですが、誰かと分けて一緒に楽しむことで、より一層満足感や喜びが増すのだと感じています。分け合うこと、シェアすることには、精神面の豊かさが伴うのです。

そんな小さなシェア活動が、日常をささやかながら豊かにしてくれると、実体験から感じています。

Text / 池田園子

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