なぜ空き瓶の蓋を閉めたくなるのか

昨日は資源回収の日で、マンションのゴミ捨て場に設置された瓶専用の箱に瓶を捨てました。必ず蓋を外してから出しています。回収されるのはあくまで瓶本体で、蓋は必要ないと知っているからです。しかし、他の住人たちが出す瓶は、いつも例外なくすべてに蓋が付いています。もう半年以上ここに住んでいて、隔週でお酒の瓶を蓋を外して捨てていますが、それを真似してくれる住人はマンション内にはひとりもいません(笑)。

似たような例として、ペットボトルの回収があります。ペットボトルも蓋を外して捨てるよう求められていますが、多くの人が蓋を付けたまま出しています。どちらの場合でも、なぜ中身が空になったあとに、わざわざ蓋を閉める一手間をかけるのか、不思議でなりません。意味のない行為にかける時間、もったいなくない? と余計なお世話ながら思うのでした。

こういった光景を見るたびに、「瓶やペットボトルだけを集めているはずなのに、なぜ蓋を外さないのか」と考えます。でも、よく考えてみると、その理由は単純かもしれません。「蓋は閉めるもの」という固定観念が深く根付いていて、蓋を見ると無意識に閉めたくなる、そんな自動的な反応が起きているのかなと思います。

この「蓋は閉めるもの」という思い込みは、蓋に限った話ではないでしょう。日常生活の中で、当たり前だと思い込んでいることがたくさんあります。それがたとえ効率的でなかったり、合理的でなかったりしても、多くが無意識に続けている行動を集めてみると面白そう。

これは本当に些細な話ですが、日常の中で「当たり前」とされていることに疑問を持ち、その思い込みを捨てることの大切さを感じました。自戒も込めて書いています。

Text / 池田園子

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