初めてフェリーでの旅を経験したのは8月下旬、神戸-宮崎の航路だった。船旅が予想を超える楽しさだったことが、先日、大阪-別府を結ぶ「さんふらわあ」に乗るきっかけとなった。
フェリーの魅力は何と言っても「非日常感」にあると思う。船に乗り、海の上を進むというだけで、陸とはまた異なるゆるやかな時間の流れる感覚。船内で眠り、朝目覚める頃には目的地に接近している。夜の間に空間を飛び越えたかのような感じが不思議で、心地よかった。
「さんふらわあ」で大阪港から別府へ🚢ビュッフェが美味しくて、どう考えても異常な量を食べてしまいました🥹豪華客船感あります💎 pic.twitter.com/vDqYdHJj35
— 池田園子🟤 (@sonokoikeda) October 8, 2024
往復でさんふらわあ むらさき・くれないのふたつに乗った。どちらも2023年に就航した新しい船で、前に乗った宮崎カーフェリーよりも遥かに今っぽかった。内装は豪華で、洗練されたホテルのような空間が広がっている。今回も個室のシングルルームを予約したが、設備の充実ぶりには驚かされた。広々とした部屋にはトイレに洗面台、シャワールームまで完備されている。
冷蔵庫もあって、レストランで買って飲み残した赤ワインを収納するのにちょうど良かった。ちなみに、レストランで楽しむビュッフェは絶品で、大分の名物や複数種類の刺身、和洋中の料理、スイーツなどが豊富に揃っており、つい夢中になって後先考えず食べ過ぎてしまった。
一方で、宮崎カーフェリーのほうが良かった点はひとつある。窓際に海を見渡せるカウンターデスクがあり、そこでひとりで食事をしていると自然と隣人との会話が生まれるような、外の景色を楽しみながら団欒できるスペースがあった。しかし、今回のさんふらわあにはそのようなカウンターがなかった。コロナ中に作られたからだろうか、そういった密になるスペースを省く仕掛けなのかは分からない。
ついでに言うと、部屋が快適すぎたため、部屋に籠ってしまった。行きはWi-Fiのつながる時間も長かったので、オンライン勉強会に参加したり、Netflixを見たりした。変わって帰りは繋がりづらく、ネットをするのは諦めて、22時くらいに眠りについた。
行きの便は夜7時前に大阪を出発し、翌朝7時頃には別府に到着する。帰りは夜6時45分に別府を出て、翌朝6時35分に大阪に戻る。フェリー旅では早起きが必要になるが、それが私にとってはとても良いリズムだった。最近また少しずつ乱れていた生活リズムを整えるのに、この早起きが結果的に役立ったのだ。
フェリー旅は移動するだけでなく、ゆっくりと時間をかけて旅の過程そのものを楽しむ贅沢なひととき。今度は大阪-志布志か神戸-新門司のフェリー旅を狙っている。
Text / 池田園子
【関連本】『船体解剖図NEO』