私は猫と暮らしています。おもちゃを買い与えるのは主にパートナーの役目で、自動で動くネズミ、首輪に取り付けられた猫じゃらし、キラキラと光るリボン付きの棒やトンボのおもちゃなど、どれも猫のハンターとしての本能を刺激するものばかりです。これらのおもちゃに猫は一時的に夢中になりますが、ある出来事をきっかけに、私は新しい発見をしました。
手元にあった、少し厚みのある色画用紙の余りが目に留まり、「この紙に猫は興味を示すだろうか?」と思い立ち、細長く切っておもちゃ代わりに与えてみたのです。すると、ただの紙にもかかわらず、猫は目を輝かせて追いかけ回し、噛んだり触ったり、持ち上げようとしたりと、さまざまな方法でその紙を楽しもうとします。その姿は、お金をかけたおもちゃ以上に真剣で、見る者を惹きつけるほどの熱中ぶりでした。
さらに、ギフトに付いていたリボンも、猫にとっては好奇心を刺激するおもちゃとなりました。リボンを宙で揺らしたり、高い場所からふわりと落とすだけで、猫はそれを追いかけ、手で触れ、噛みついたり、匂いを嗅いだりして楽しむのです。ただのリボンですら、猫は自分なりの工夫で最高の遊び道具に変えてしまいます。
この経験を通して、猫の持つ創造力や遊び心を「最高だな」と感じました。猫は自身を楽しませるために、与えられたものの価値や見た目に縛られません。どんなにささやかなものでも、自分の工夫次第で無限の楽しみを見つけ出そうとするかのよう。
猫の姿から再確認したのは、楽しむ方法を真剣に考えることの大切さです。「これがなければ楽しめない」「もっと良いものが必要だ」と決めつけるのではなく、むしろ目の前の些細なものに工夫を凝らして楽しむ力があれば、日常はもっと豊かになるのだと感じます。
猫はいつでも全力で遊びます。そのクリエイティブ(に見える)あり方を間近で見るたびに、私ももっと柔軟な心で日常を楽しみ、限られたものの中から楽しみを見つけることを忘れずにいたいと思うのでした。
Text / 池田園子
【関連本】『猫に学ぶ――いかに良く生きるか』