日記で養生——本音を吐いて心を守る

「9月はしんどかった。人のミスが許せない。アイロンのかかったシーツで寝たい」

これは9月30日の私の日記です。
振り返ると9月は新しい出会いが多く、充実した日々を送っていたと思っていたのですが……。
しんどかったことが消化できておらず、無意識に上記の言葉が思い浮かんだのかもしれません。

私は15歳の頃から日記をつけています。
日記には、もう何年も無印良品のノート(A5・5mm方眼)を使用。
書くのは長くて3行、時にひと言。書かない日もあるため、約3年かけて1冊を使い切るほどスローペースです。
初めての出産の日さえ「私だけの体は久しぶり。疲れた」と、もっと他に書くことがあるだろう!と思わず突っ込みたくなるほど短い文章で、日記というよりもジャーナリング(頭に浮かんだことをありのまま書き出して自分の考えを整理すること)に近いのかもしれません。
書きたい日だけ書き、いつやめてもOKというわずかな熱量だけで、27年書き綴ってきました。

Asakoさん提供

ジャーナリングと違う点は、書いた文章を読み直さないこと。
気持ちを吐き出すことを大切にしています。

少し話がそれますが、昨年から食事に対する意識が変わりました。
栄養を摂ることよりも、まず体の中の不要なものを出すことに重きを置くようになったのです。
不要なものが溜まっている状態では、どれだけ栄養を摂ってもきちんと吸収されないのでは? と考えるように。
これは体だけでなく、心も同じかもしれません。
嫌だったこと、悲しかった気持ちはちゃんと吐き出して消化しないと、いつか爆発します。

私にとって感情を消化するための手段の一つが、まさに日記です。
本当は嫌なのに、笑顔でごまかしたこと。
誰かの何気ない一言で、悲しくなったこと。
自分が我慢すれば全て収まると、受け入れたこと。
特に二度と会わないであろう相手だと、我慢してその場を過ごすことがあります。

気持ちを切り替えることもできますが、ふとした瞬間に思い出して再び嫌な気持ちになり、忘れた頃にまた思い出す……の繰り返し。
だからこそ表に出さなかった気持ちを文字にして、ごまかしていた自分の気持ちや、どれだけ傷ついていたのかを客観的に知るようにしています。
書き始めると相手に対する思いや憎しみの言葉など(笑)、ひどい言葉が並ぶこともありますが、気持ちをちゃんと出すことで翌朝スッキリした気分で1日を始められます。

今回この文章を書くにあたり、10代の頃の日記を(恐る恐る)めくってみました。
今でこそ簡潔に書かれている日記ですが、当時は感情をまき散らし、デスノートの片鱗がうかがえるほど激しい内容もちらほら。
ときには長文で、誰かに話しかけるような書き方をしていました。
特に反抗期がないまま大人になった私は、当時から日記をはけ口にして心を守ってきたのかもしれません。

ネガティブな感情は思いのままに吐き出し、明日の私へ持たせない。
日記は、誰よりも私を受け止めてくれる存在です。

みなさんは、自分の気持ちを正直に吐き出せる場所がありますか?

Text / Asako Yano

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