出会いやチャンスをもたらしてくれるのは人。

地域の社会福祉協議会が主催する高齢者向けサロンに、ボランティアとして参加してきました。いま、私は高齢者向けサービスの立ち上げに向けてコツコツ準備を進めていますが、普段は高齢者と触れ合う機会がほとんどありません。そこで、サービスの対象である高齢者と直接ふれあいたい、という目的を持って参加したのでした。

「高齢者とは?」とネットで調べるだけでは、実際の姿やニーズを理解することは難しいもの。やはり、実際に会い、お話をすることが一番です。

私自身にとって有意義な経験であると同時に、参加する高齢者の皆さんにも、普段関わらない世代の人間とふれあうことによって、いつもと違う刺激や新鮮な空気を感じて楽しんでいただける場を提供できるのではないかと考えました。

このチャンスは私ひとりで獲得したものではありません。縁をつないでくれた人たちがいました。

きっかけは、近所にある飲食店との出会いでした。ジムに行くルートで毎日のようにその店の前を通りかかっていたのですが、ある日、ふと中の雰囲気を見たくなり、入口から店内を覗いてみました。すると、おかみさんが出てきて、初対面にもかかわらずたくさん話をしてくれたんです。そこからひとりで何度か足を運ぶようになり、パートナーとも一緒に訪れるようになりました。

その過程で、おかみさんに私たちの計画している高齢者向け事業について話してみたところ、「それなら◯◯に行ってみましょう」と、別の飲食店で働くキーパーソンを紹介してくれることになりました。◯◯は私もひとりで行ったことがありますが、後日おかみさん、私、パートナーの3人で一緒に訪れたことで、その方との新たな出会いが生まれました。

その場で私たちの構想を伝えると、その方は賛同してくださり、「良かったら一度来てみてください」とサロンを紹介してくれたのです。

この一連の出来事を通して、人とのつながりがいかに大きな力を持つかを実感しました。自分ひとりではたどり着くのが難しかった場所に、他者がすっと導いてくれる――人の助けがあってこそ、新たな出会いやチャンスが生まれるのだと感じました。

近所には高齢者が多く住んでいますが、日常の挨拶を超えて関係を築くのは難易度が高いです。しかし、サロンのように一定の時間を共有する場では自然な会話が生まれ、交流も深まることも。

こうした機会を得るには、自分が何をしたいのか、どのような助けやリソースを必要としているのかを明確に伝えることが大事です。具体的に示すことで、それに応じた人々や機会を自然と引き寄せるように思います。

オンライン上の出会いもひとつの手段ですが、私はやはりリアルな場に足を運び、人と直接話をすることが自分に合っていると感じます。人柄や雰囲気を伝えやすく、距離が近づきやすいのも感じます。

これからも人との生の交流を大切にしながら、新しい出会いを積み重ねて、活動の幅を広げていきたいと思います。

Text / 池田園子

【関連本】『みんなの社会的処方