「商工会議所」と聞いて、皆さんはどんなイメージがありますか? 今回は、商工会議所の会員になって勉強会やセミナーに参加してみたら、予想以上に得るものが大きかったという感想をお話しします。
私は2012年2月に個人事業主として届出をし、2020年2月には会社の役員になりました。雇用される側から離れて12年ほど経ちますが、その間、商工会議所という組織を特に意識することなく過ごしてきました。
そんな私が今年初めて商工会議所の会員になりました(今回は法人の立場での入会です)。商工会議所という言葉自体は既知でしたが、「年配の経営者が集まってワイガヤしている場所」というなんとも勝手な先入観を持っていました。今思えば、まったく根拠のない偏見です。
入会のきっかけは、契約しているジムへの通り道に豊中商工会議所があり、ふと立ち寄ったことでした。そこで初めて「商工会議所とはあらゆる中小企業の経営者や個人事業主を支援する場である」と認識したんです。
また、縁のない大阪という地に引っ越してきて、友人知人を増やしたいし、もちろん仕事につながる縁も欲しい、という欲望もありました。さらに今年度いっぱいは年会費が無料という特典があったため、安易な気持ちで入会を決めました。
入会前に資料を読んで知ったんですが、商工会議所では勉強会やセミナーをいろいろやっています。登壇する講師は、地域の商工会議所に所属する経営者で、その道の知見を持った人たち。そこに参加した人たちの一部が、この人からもっと学びたい、事業の支援をしてほしいと思い、顧客になるという、ある種の「営業の場」的な座組みがあるようです。
いくつかの勉強会やセミナーに参加してみたところ、予想以上に充実した内容でした。グループワークでは、主に豊中・その近辺の市町村で事業をしているさまざまな業種の方々の話を聞く機会があり、それぞれの視点やユーモアに触れることができています。参加者の中には、私よりもかなり年上の先輩経営者もいれば、同世代の人、さらには会社員の方(※)もいて、多様な交流が生まれました。
どの参加者も学びを自社の事業や自身の仕事に生かそうという向上心にあふれていて、その姿勢から大きな刺激を受けています。商工会議所の勉強会やセミナーは、会員であれば割安で参加できて(国から補助金が出ているため、3時間の会で2,000円程度)、会員以外の方も自営・会社員問わず、会員向け費用の2倍(一般的にはそれくらい)を払えば参加可能です。この柔軟さもさまざまなバックグラウンドの人々との出会いを生み出していると感じます。
さらに、セミナーの講師も非常に魅力的で、ここでなければ出会えなかったような人たちとの新しいつながりができました。一部の参加者とは新規事業を共に動かしていくきっかけが見つかったり、プライベートでも親しくなったりと、予想以上の広がりを得られました。私もごく稀に登壇することがあるので、受講する側ではなく登壇する側にもなりたいなと思っています。そのポジションも粛々と狙っていくつもりです。
この経験から改めて感じたのは、先入観にとらわれず、一歩踏み出してみることの尊さです。同世代の会社経営者である友人にこの話をしたところ、彼女も「商工会議所に入会するなんて考えたこともなかったし、勝手な思い込みだけど、年配の経営者ばかりだと想像してた」と驚いていました。この反応から、多くの人が似たような思い込みを持っているのではないかと感じています。
だからこそ、少しでも興味が湧いたなら、参加してみるのもよいと思います。今のところ、私にとって商工会議所は、経営者としての学びと出会いの新たな場であり、入会してみて正解だったと感じています。
Text / 池田園子
【関連本】『経営者のための商工会・商工会議所150%トコトン活用術』