姿勢への意識は未来への投資

「姿勢がいいね」と言われることが多いです。姿勢についての感想? 意見? それとも褒められてる? 今回「姿勢を褒められている前提」で話を進めますと。

姿勢がいいように見えるのは、私が意識的に背筋を伸ばし、胸を開いて大胸筋や鎖骨が空を向くよう意識しているからです。先日も「本当に姿勢がいいわね」とエスカレーターに乗っているとき、後ろにいた知人に言われました。

飲食業に従事するその方は、「いつも下を向いて作業しているから猫背になってしまう」とこぼしていました。確かに、職業柄、下を向く時間が長いのは避けられません。

時折上を向いたり、肩や首を回したり、胸を開く動作をしたり、ストレッチをしたり……数秒でも時間を見つけて、姿勢ケアをしてみては?

そう伝えてみたものの、あまり関心がないようで、「今の仕事を続けている限り、猫背になるのは仕方ないんです」。そんな言葉が返ってきました。

姿勢が悪いと、見た目が老けて見えたり、若々しさが失われたりします。それだけでなく、身体への負担も大きくなります。肩こりや腰痛の原因になったり、呼吸が浅くなって疲れやすくなったり。悪い姿勢が習慣になると、それが当たり前になって(その姿勢でいるほうがラクだと感じることによって)、なかなか改善できないものです。

一方、いい姿勢は、見た目を美しくするだけでなく、心身に良い影響を与えます。自信が湧いたり、ストレスが軽減されたり。内臓の働きも改善され、健康寿命を延ばすことにもつながるでしょう。

私もデスクワークが多く、姿勢が凝り固まりがちですが、気づいたときに身体を細かく動かしています。

「心身のあらゆる機能は使わないと衰える」と考えているので、負担がかかっている部分に動的・静的な刺激を与えます。前出した姿勢ケアは私が普段、仕事や家事の合間にしていることです。ハードではなくとも、毎日何らかの筋トレをするのもそんな理由です。

いい姿勢でいようと努めるのは、(自分のためにも周囲のためにも)明るく元気そうな印象でいようとするためだけではなく、すこやかな毎日を送るために大切なことだと感じているからです。

いい姿勢でいる努力は、自分への投資。

Text / 池田園子

【関連本】『正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書