41歳「夫としたくない。でも、このままセックスと縁遠くなる自分も不安」セラピスト康太の“性”悩み相談室

はじめまして、康太と申します。私は性感マッサージや中イキ開発といった女性のお悩みやご要望にお応えするセラピストとしての活動を10年続けてきました。

今回は、既婚者の方からいただくことの多い「セックスレス」に関するご相談に回答をしてみたいと思います。

今回のご相談「性欲減退。夫からの誘いは避けているけど、このままセックスしなくなる自分も不安」

「アラフォーでふたりの子どもがいる既婚女性(41歳)です。性欲が減退気味で、家族になった夫としたいと思えません。セックスに誘われても、一緒に晩酌して夫が酔っ払って先に寝る流れに持っていき、できるだけ避けるようにしています。夫のことは好きですし、尊敬もしています。ただ、今は仕事や育児に疲れていることもあり、セックスへの興味も薄れ、何より家族となった夫を性の対象としては見られません。一方で、まったくセックスしないのも、自分の女性性がどうなるのか不安です。アドバイスがあればお願いします」

康太の回答

妊娠・出産を経験された女性が、性欲がなくなったり、パートナーとのセックスへの興味が薄れたりするというお悩みは特別なことではないと思います。
出産による体調の変化に加えて、育児と仕事が忙しい時期が重なる生活環境の変化により、多くのご夫婦が経験する問題ではないでしょうか。

パートナーのことが好きで尊敬していても、どうしてもセックスしたい気持ちになれない原因がどこにあるのか? 悩んでいる自分自身でもよくわからないことが多いので、家庭内でのセックスに関するお悩みはとても複雑です。

例えば、以前は許容できたパートナーの行動が気になり始めたり、男性としての魅力を感じなくなったり、日常の家事・育児や生活の中で不満が隠れていて、それがトリガーとなっている場合も考えられます。

また、本来は対等であるはずのセックスが、女性側が奉仕するだけで終わることもよく耳にします。男性側の前戯が少なく、すぐに挿入して女性が気持ちよくなる前に終わってしまうなど、女性にとって実質的に「義務」と感じられる場合もあるでしょう。

仕事や家事育児に疲れているうえに、夜も「義務」と感じてしまうセックスであれば避けたくなるのも無理はありませんよね。

私の考えでは、性欲とは「期待値」であると定義しています。そのため、もしセックスが「義務」と感じられるようであれば、期待値が下がり、セックスをしたくなくなるのは自然な流れだと感じます。

ですが、旦那さんのことを人間として好きで、尊敬していること、そしてお子様がふたりいらっしゃることを考えると、セックスとは別に、家族として良好な関係を続けたいというのが相談者様の本音ではないでしょうか。

「相手を傷つけることなく、時間をかけて解決策を考えていく」

相談者様のお気持ちを汲みつつ、私の提案として以下を挙げてみます。
テーマは「相手を傷つけず、時間をかけて解決策を考える」です。
私が性の悩みの解決策としてよく提案するのが、「時間をかける」ということです。

余談ですが、私へのご依頼の多くは、気持ちよくなりたい・中イキしてみたいという内容が多いのですが、このような場合でも時間をかけて、女性の心身になじませていくということを大事にしています。急激な変化はダイエットと同じように一時的な効果で簡単に元に戻ってしまいます。「早く結果を出したい」という焦りが、悩みを拗らせてしまうこともあるため、時間をかけて解決することをオススメしています。

相談者様は、現時点ではご自身の心の状態をはっきりと把握できていないように感じます。そのため、自分の気持ちや旦那さんの反応を観察しながら、時間をかけて解決策を模索していきましょう。

具体的に3つのステップに分けて、ご紹介していきます。

ステップ1:旦那さんの要望に部分的に応える

まずは旦那さんが求めている「触れ合い」に対し、相談者様が無理のない範囲で応えることを考えてみてください。セックスが難しい場合でも、「ハグ、キス、手を繋ぐ、簡単なマッサージ」のような行為の一部ならできるかもしれません。

今はすべてが難しいと思われる場合もあるかもしれませんが、少しでも触れ合える範囲を模索して努力することで、旦那さんの気持ちに寄り添う土台ができると思います。

ステップ2:セックスをしたくない自分の気持ちも大切にする

旦那さんの要求には部分的に応えつつも、セックスについてはこれまで通りうまくかわしても構いません。問い詰められた際には、以下のように伝えるのもひとつの方法です。

「産後や年齢の影響で、セックスをすると性交痛があったり体に負担がかかる」
「最近は産婦人科にも相談している」

このように、旦那さんが受ける精神的ダメージを考えて、セックスを断る理由を「気持ち」ではなく「身体的な問題」に置き換えることで、家族としての関係を良好に保つことを優先させます。

ただし、問題点としては、ステップ1で触れ合う行為で旦那さんに「期待」を持たせてしまう可能性がある点です。この場合、ステップ2の内容をどこまで伝えるかを旦那さんとの関係性や背景に応じて調整してみてください。

ほかには、仕事の疲れやストレス、更年期などの年齢による「性欲の低下」を旦那さんに上手に伝える方法もあります。理解のある旦那さんなら配慮してくれる可能性もありますが、女性への理解度がそこまで高くない場合には、関係性が余計に悪化する可能性があります。

例えば、男性の勃起力も年齢とともに下がってくるのですが、セックスの途中で萎えてセックスがそのまま終わってしまうと、女性に原因はなくても、その事実に女性がショックを受けるケースも少なくないと思います。家庭内セックスの難しいところは、関係性が近いからこそ事実がよりリアル感を増してしまう点です。お互いの性格を加味して、事実を伝えるのか、相手を傷つけないためのウソを選択肢に入れるのかも含めて検討してみてください。

ステップ3:セックスレス解消に向けて自分と向き合う

ステップ2を理由にしてセックスを避けていたとしても、やはり何年もそのままというわけにはいかないかもしれません。レスが続くと、旦那さんに不満が溜まったり、不穏な行動に出る可能性もあります。

旦那さんの要望に一部応えつつ、ご自身の心の変化と向き合い、時間をかけて旦那さんを受け入れる準備を進めていきましょう。

どうしても触れ合わない期間が長く続くと、旦那さんとのセックスがまずます難しくなってしまいます。触れ合いをあえて増やすことで、相談者様自身のお気持ちが前向きになる可能性もありますので、前向きにチャレンジしてみてください。

ステップ3(その2):セックスレスを受け入れる

セックスレスと向き合って解消すれば良いのですが、向き合った結果、夫婦間でのセックスが難しいと判断する場合も当然あるかと思います。
2023年の「夫婦のセックスレスに関する実態調査」では、20~50代既婚者カップルの68%がセックスレス+ややセックスレスであると回答しています。

セックスレスが解決できなかったからといって、ご自身や旦那さんを責める必要はまったくありません。家族というチームを健全に運営していくという方向にシフトすることも、ひとつの解決策になると思っています。

セックスはなくても旦那さんとできるだけ同じ時間を共有し、会話を増やすことで家族愛を育んでいくことができると思います。また、状況によっては、ルールを設けてセックスを外注することを認めている夫婦までいらっしゃるほど、多様な夫婦の考え方があると感じます。できそうであれば、セックスレスについて夫婦間で一度話し合っておくのもオススメです。

最後に、心配されていた「セックスをしないことの身体への影響」についてお答えしたいと思います。

たしかに、セックスをしないとドーパミンやオキシトシンといったホルモンの分泌される機会が減るので、多幸感を得にくくなるという影響は考えられます。ただ、定期的な運動や趣味、質の良い生活習慣を取り入れることで幸せホルモンを代替できるとも考えられます。

また、私にご依頼いただいたケースでは長期セックスレスでも「感度がなくなる」や「性欲が戻らない」といった状況はほとんどありませんでした。欲や感度は、一時的に薄れることはあっても、枯渇してしまうことはないと考えています。

30代・40代はまだまだ性欲が高まる可能性がある年齢です。女性は年齢を重ねるほど、より深いオーガズムを感じやすくなるというケースも多いです。既婚者にとってのセックスレスは、身近な悩みです。気負わずに、気長に、視野を広げてご自身に合った解決策を見つけていただけたらうれしいです。

Text / 康太

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