友人と一緒にマシンピラティスの体験に行ってきました。マットピラティスは1年習った経験がありますが、正直なところ「できている」感覚を得られたことはありません(難)。それでもマシンピラティスには興味があり、参加してみました。
ワークはとても新鮮で、普段使わない身体の使い方をする点が印象的でした。ただ、マシンの上で行った動きの中には、自宅のヨガマットでも再現できるのではないかと思うものもあります。全体として、価格に見合う満足感はそれほど得られなかったというのが正直な感想です。それでも、スタジオ自体はおしゃれで素敵な空間でしたし、都会のど真ん中という立地も魅力的でした。そんな環境に通う自分を想像すると、少し特別な気分になれそうだなと思えました。
昨今のピラティスブームで、ピラティススタジオは本当に増えています。あまりに急増しすぎて、脱毛サロンや美容脱毛クリニックのような、競争が激しい業界のイメージを持ってしまうほどです。ブームで終わるのか、定番になるのか分からないところ。
さて、今回訪れたスタジオは無料体験を提供していました。他エリアの店舗では体験に数千円の料金を設定しているところもあります。私はむしろ払いたかった。余計なお世話すぎますが、カウンセリングの際に「少しでも料金を取った方がいいのではないか」と提案してしまったほどです。無料で提供すると、浅く広く誰でも彼でも受け入れてしまうから。一定の料金を設定すれば、本気で興味のある人だけが来る可能性が高くなるものです。
実際、私たちも「すぐ入会したい人」ではありません。私も友人もそのエリアには住んでおらず、たまたまそのエリアでお茶をする予定があったので、お茶の前に「興味のある運動を体験しよう」といった軽い気持ちで参加しました。確度の高い見込み客ではない点で、私たちはスタジオ側にとって利益をもたらさないタダ乗り体験者です。厳密に言えば、私は1年以内にそのエリアに引っ越す予定があるので、運動目的で通う可能性もなくはないですが、現時点ではすぐに入会する考えはありませんでした。
一方、スタジオ側はその場での入会を強く勧めてきました。友人は「ピラティスが初めてということもあり、スタジオを探して比較検討している最中」と説明し、私も「今は通う予定はないが、将来的にこのエリアに引っ越したあと、通う可能性がある」と伝えました。それでも、「今日申し込むと入会金などが無料になる特典があります」「あと数回レッスンを受けて1ヶ月以内に申し込むと割引があります」などと、かなり粘られる形になりました。「入会金周りの正規の料金を払うのは嫌ではないので、自分が入会したいタイミングで入ります」と丁重にお断りしましたが。
この体験は、自分がサービスを作ったり営業を行ったりする際に役立つ学びになりました。当たり前のことですし、営業に限らず友人知人との会話でもいえることですが、相手のニーズを無視して押し付ける営業は効果が薄いし、むしろ悪印象を与えるということです。今回の営業では、私たちのニーズや状況に耳を傾ける姿勢が感じられず、ただ「今日中に入会させたい」という相手方のニーズが目立っていました。このようなアプローチでは、見込み客に不快感を与えたり、無関心層にさせる結果につながったりすると思います。
営業やサービスを受ける体験は、自分自身の成長につながる勉強の機会でもあります。上手い営業も下手な営業もどちらもストックできて、いいところは真似して、悪いところは反面教師にすればいい。今回の経験を通じて、相手の状況に合った提案の重要性を再認識しました。サービスを提供する側として、また受ける側としても、これからの糧にしていきたいです。
Text / 池田園子
【関連本】『忙しいならピラティス以外ぜんぶやめていい』
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