友人のアサコナンが音声配信で話していた「物持ちがいい」事例に感嘆しました。同じ下敷きを35年間使っているなんて! 35年。驚くべき年月です。壊れない限り特に買い替える理由もないので使い続けた結果、実に丈夫でいてくれて、35年も彼女の生活の中に溶け込んでいたということ。
そんな話を聞いて、自分の物との付き合い方を振り返ってみました。私は物持ちがいいわけではありませんが、それでも長く愛用している物はあります。例えば、果物を切るための木のナイフ。実家を出た18歳の頃から使っていて、今38歳なので20年ほど手元にあります。ただ、柄の部分がグラついてきて、一度専門家に修理をお願いしましたが、完全には直らず、昔のような使いやすさはありません。それでも刃先が丸いことから、指をカットするリスクなく果物の皮を剥けるこのナイフに代わるものが見つからず、手放せないでいるのです。このナイフ自体、30年は経過しているでしょう。
もうひとつ、物持ちの良さを実感するのは、小学校卒業時に記念にもらったホッチキスを未だに使っていることです。岡山市立東疇小学校という校名と卒業年度が印字されていて、当時から26年経った今も現役で活躍しています。壊れる気配がまったくなく、一生使い続けるのだろうと思います。
さらにもうひとつ。これも小学校時代に百均で買った穴あけパンチです。約30年使い続けています。今思えば、文房具に関しては壊れるまで使い続ける傾向があるようです。以前持っていた木製のシャーペンも気に入って20年ほど使い続けましたが、最終的には壊れてしまい手放したのでした。
一部ではありますが、こういった物との付き合い方を振り返ると、壊れるまで使うという姿勢が自然と身についていることに気づきます。ほかには靴下も例外ではなく、穴が開くまで履き続け、破れた後は布巾や窓掃除用の布として再利用しています。物に対して「最後まで役立ってほしい」という思いがあるのです。
一方で、矛盾するようですが、安易かつ衝動的に服やコスメを買うことはあります。ただ、不要になったそれらは捨てるのではなく、欲しいという人に譲ります。使わなくなった物が他の誰かのもとで第二の人生を歩むのを見ると、なんともうれしい気持ちになります。
ここまで書いていて、物との付き合い方は人との付き合い方に通じる部分があるのかな? と考えました。私は関係性において不都合を感じると、相手をリリースする方向に動くので……。詳しくはまた別の機会に考察を綴ることにします。
Text / 池田園子
【関連本】『あるものでまかなう生活』
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