簡単に「欲しい状態」を手にできる人、できない人の違い。

「見ず知らずの人に一言お願いする。それって難しいのかなあ」。そんな感想を抱くXの投稿に出会いました。

新幹線の座席での出来事を投稿したもの。先に乗っていた通路側席の人が壁際の電源を使っているのを見て、後から乗り込んできた窓側席の人が、「これは窓際席の人の権利では?」と投稿。ご丁寧に写真まで添えられています。

「すみません、スマホの充電がなくなりそうなので、ちょっと電源を使わせていただけませんか」

やわらかい表情で一言言えば、5秒もかからず自分の理想(=電源を使う)に辿り着ける話(測ったらわずか4.98秒で言えました)。

余談ですが、『影響力の武器』で読んだ心理学者エレン・ランガーが行った実験を思い出しました。図書館のコピー機の前にいる人に頼み事をし、その成功率を比較した結果では、頼み事に理由を添えると成功率が高まることが示されています。

面白いことに、先の例のように「ので」を添えてお願いすると、どんな「ので」であっても、9割以上の人が協力してくれるそうです。直球で「スマホを充電したいので」でも通ります。

一方、「すみません、ちょっと電源を使わせていただけませんか?」とだけ頼むと、成功率は約6割にとどまるそう。「ので」という理由的言葉を添えることで、人は頼み事を受け入れやすくなることが分かった、という面白い話です。確かに、そう言われると「困ってるんだな。じゃあ、お先にどうぞ」と私も思いそう。

新幹線電源投稿に話を戻します。一言言えばいいだけなのに、それを回避して、わざわざ写真を撮り、投稿文を考えて打ち込む、という時間は5秒の何倍なのか。5分かけたとすると、単純に60倍の時間を要しているわけです……。

新幹線の電源は窓際席の人しか使えないというルールはありません。使いたいなら、一言お願いするだけで使えるはずです。この手のお願いは相手を怒らせるものでもありませんし。

私は不要な遠慮やモヤモヤを抱えたくないので、相手に迷惑をかけたり怒らせたりするお願いでなければ、率直に伝える行動を選んでいきたいと思ったのでした。

Text / 池田園子

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