観終わると勇気が湧くドラマ『宙わたる教室』のすすめ

毎年年末になると楽しみにしているYouTube動画がある。
佐久間宣行さんの「NOBROCK TV」というチャンネルで、東野幸治さんとふたりでその1年で高評価したい映像作品を語り尽くす趣旨の番組が配信される。

そこで知ったアニメ『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(通称、デデデ)を観てドはまり。SFアニメのジャンルでは久々のヒットで、彼らのおすすめは自分に合うおすすめだと確信した。

今年はNHKドラマ『宙わたる教室』をすすめていて、Amazonプライムビデオで観れたので試しにと観始めてしまった。

窪田正孝さん演じる訳アリ研究者が、定時制高校で数学を教えることになる。定時制で科学部を発足し、部員3名以上いれば部として正式に発足されるわけだが、そこは定時制高校。一癖も二癖もある生徒が部員となり人間ドラマが展開される——簡単に言うとこんな内容である。

スポットライトが当たる生徒や話題は毎話ごとに違う。定時制の世間のイメージや不当な偏見、不条理な仕打ち、弱い自分との闘い、それらを通して生徒の成長を描く。また、部活動はちょっと変わった科学部。学会発表を目指し奮闘する様はまさにゼロ→イチの大変さ。

何を進めるにも簡単にうまくいくような話ではなくて、躓いている目の前の石をひとつずつ取り除いて進まなければまっすぐには進めないような、人生そのものを教えてくれているよう。

時には問題に向き合いながら歩を進めても、周りから足を引っ張られる不条理もある。そんな不条理に負けてしまいそうなことも描かれてはいるけれど、つながった仲間を信じて、そして自分を信じて進んでいくところに、思わず涙腺が緩んできてしまう。
少なくとも2話に1回は泣いてしまって、つまり今、泣き疲れなのだ。

教師は部活中に熱血指導するというよりは見守っているような感じ。定時制の生徒たちがどう考え、どう試行錯誤して、軌道修正していくか、それこそが人の成長には欠かせない環境なのだなあと感じながら観ていた。初めの数話はそれほど涙することはなかったが、4話以降は毎回ぽろぽろとあふれてきてしまった。

特に俳優陣、素晴らしい。イッセー尾形さんのおじいさん生徒役は素晴らしかった。さまざまな事情を抱えた生徒たちはやっぱり定時制ならではだし、年齢層もおじいさん、中年主婦、ヤンママ、10代と幅が広い。こうした幅広い人たちが通うひとつの教室には世代間ギャップが生じやすく、ドラマも生まれやすいといえる。これぞ多様性の中でひとつの部活が盛り上がっていく様は、やっぱり感動する作品になるのではなかろうか。登場人物に目いっぱい感情移入して「がんばれ!」って応援して観たこのドラマ、観終わるとなぜか勇気が湧いてくる。

Text / Dr.Taro

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