「準備が9割」は日常生活でも言えること。

「私って性格悪いなあ」と反省する出来事がありました。「明らかに嫌味だなあ」と認識しながらも、口にすることを抑えられなかったのです。

ある日のこと。まだ家にお餅があるのに、パートナーが新たにお餅を買ってきました。「もしかして、まだお餅あった? 新しいの買っちゃった」と言われ、「うん、まだあるよ。そっかー、じゃあお餅を積極的に食べなきゃね」と私。

内心では「なんで在庫に気づかないかなあ」と不満に思っていました。私は在庫管理が得意かつ好きで、冷蔵庫や常温の食材、日用品の残量を把握し、手元にあるモノは在庫切れ直前にしか買いません。対して彼はすでにある調味料や食材を買ってくることがあり、そのたびに「まだあるのに」とこっそりため息をついてしまいます。

別の日、彼が夕食担当だったので、自宅にある食材をリスト化して事前にメッセージで伝えておきました。とくに野菜類は家にあるものから使ってほしいので。しかし、彼はその日買う必要のないネギを買ってきていました。ネギは家にあるよと伝えておいたのに……。

その瞬間、「ネギはあるって言ったけど?」と指摘したくなりましたが、過ぎたことをWHY軸で責めても仕方がないと思い、何も言いませんでした。それでも内心では「情報共有したのになんで忘れるの?」とモヤモヤ。

これは相手への過度な期待が原因です。「人に期待しない」と決めているのに、期待しているのです。結局は自分の「期待しないスタンス」が中途半端なわけであって、相手は悪くありません。

冷静に考えれば、得意不得意や関心事は人それぞれです。私が在庫管理を得意としている一方で、彼は得意ではなく、関心もないのでしょう。それを理解しているはずなのに、なぜ小さな器がさらに小さくなり、心がざわつくのか。それは、私自身に余裕が不足しているから。

さらに、相手の苦手分野を補うための「仕込み」を怠っていたことにも気づきました。「ネギがあるよ」と文章で伝えるだけではなく、視覚的に分かるよう目につく位置に置いておく必要があったのです。

自分の希望する行動を他者にとってほしいなら、そうできるような環境を整えること、自分の手の及ぶ部分ではコントロールしておくこと、それをせずに勝手にイライラしていました。

「準備が9割」は仕事だけでなく、日常の些細なことにも当てはまります。それを怠り、結果に対して嫌味を言うのは、自分の悪性格を露呈しているだけなんですよね。

とはいえ、分かっているのに嫌味を止められない、幼稚な自分がいるのも事実です。こうして書き出すことで、自分の言動を振り返り、少しでも改善できたらと思っています。

Text / 池田園子

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