目標は「明日も生きる」理由になる

ある朝、車椅子で移動している高齢女性と出会いました。その女性は車椅子を動かそうと試みているのに、ほとんど進められずにいて、明らかに困っている様子が見て取れました。

すれ違ったあと、振り返って数秒ウォッチ。やっぱり、進んでない。車も通る道で、人もときどき通るけど、このままだと困るのではないか?

「もしかしてお困りではありませんか」と声をかけました。女性は、実は困っていますとおっしゃり、助けを必要としていたため、歩道のある300mほど先まで車椅子を押すお手伝いをすることに。

背中越しに会話をする中で、女性の今の暮らしや目標について知ることができました。最近までがんを患い療養していて、今日はいつもお世話になっている人がたまたま不在のため、ひとりで車椅子を操作する練習を試みたとのこと。

ただ、一定期間の療養生活による筋力低下や寒さによる手のこわばりが原因で、思うように動かせず困惑していたようです。それでも女性は、今後は歩行器を使いながらであっても、自分の足で歩けるようになりたい、近所の好きな店へ行って日常的な買い物を楽しみたいといった目標を語ってくれました。

その姿勢から、Wantを持っておくことの大切さや、それが人に生きる力や前向きな姿勢をもたらすということを改めて実感しました。

また、この出会いを通じて、日頃から自分が関心を持っていることや取り組んでいることにアンテナを張っていると、こうした偶然の出会いを引き寄せやすくなるなあと改めて感じます。

高齢者向けサービスを展開しようとしている私にとって、この女性との出会いはまさに貴重な学びの機会であり、彼女との会話の中から顧客候補の具体的な声や課題を聞けたことは大きな収穫でした。

何気ない日常の中で起きたこの出会いは、もう二度と会うことのない人との交流かもしれませんが、自分が大切にしていることを再確認するきっかけにもなりました。

この女性はどうやらご近所さんのようなので、また会うかもしれませんが。自己紹介をして、今度再会したら「そのちゃん」「◯◯ちゃん」と下の名前にちゃん付けで呼び合うことになりました(笑)。

他者との関わりを通じて、交わす言葉やその行間を繊細に捉え、そこから学び、人生に生かしていくプロセスを繰り返していきたいものです。

《この話はスタンドエフエムでも配信しました▼》

Text / 池田園子

【関連本】『はじめての目標達成ノート

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