毎月1日に連載をしてくれているAnna Koshizuka(ゆる社会活動家/ケアライター)さんが、このたび初の書籍を出版されました。そのタイトルは『ケアギフト』。
本書では、歳時記や儀礼としてのギフトやプレゼントとは異なり、誰かをケアするための贈り物が「ケアギフト」と定義されています。
ケアギフトという考え方を生み出して自ら実践するなかで、「誰かをケアする」視点を持ちながら、日頃の贈り物や贈る行動を捉えてもらえたら、との想いから本書刊行に至ったそうです。
贈るシーンとしては、誰かが疲れていたり体調を崩していたりするとき、相手に対して感謝や思いやりの気持ちを伝えたいとき、または自分がちょっとした気遣いを受けて嬉しかったときなど、なんらかの形で心が動いた瞬間。そんなとき、かろやかに贈り物をシェアすることがケアギフトの本質です。
ケアギフトは形あるものに限らず、言葉や情報、時間といった「もらってありがたいもの」や「助けになるもの」を含みます。また、お金をかけなくても、アイデア次第で素敵なケアギフトを渡せること、それが私たちの日常にあふれていることを教えてくれる内容です。本書にはそんなケアギフトのヒントやアイデアがたくさん詰まっています。
読んでいると、自分でも言語化できていなかった考え方との出会いがありました。さらに、私自身も無意識のうちに、ケアギフトに該当するシェアをしていたことに気づかされました。
たとえば、誰かに会うとき、小さなお土産を持っていくことがあります。何の記念日でもなく、お祝いの意図もないときですから、相手を想う心をちょっとしたモノを通じて「形」にしたといえます。
ゆっくり休む時間のなさそうな忙しい方には、「身体を壊さないよう、1杯のコーヒータイムくらいはキープして休憩できますように」という願いを込めて、コーヒーのドリップパックを添えたり、美味しい菓子店の小菓子を買って渡したり。
移動が多くて身体の疲れがありそうな方には入浴剤を渡すこともあります。また、本を贈ることもあります。宛先を教えてもらえたら、Amazonから相手に直接送ることもあります。この『ケアギフト』という本もお世話になっている方や友人数名に手配しました。こうした小さな贈り物を通じて、相手の心身がふっとゆるむ瞬間づくりに寄与できたら、と思っています。
ケアギフトの本質は、誰かを思いやる気持ちにあるのだと思います。贈り物を選ぶ際に「この人は何を喜んで使ってくれるだろう」「どんなものがこの人の心や身体を少しでも癒すだろう」と想像を巡らせるその時間。それ自体が、相手へのケアであり、愛情の表現です。
『ケアギフト』は日常に生かせる温かいやりとりを提案してくれる本。ささやかな思いやりから始まるコミュニケーションを深めたい方は、ぜひ読んでみてください。
Text / 池田園子
【関連本】『ケアギフト』
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