「ありがとう」は言われすぎても戸惑います。先日ラーメン店に行った際の出来事です。席にまだ余裕があったからか、私と彼は一番広いテーブル席に案内されました。そこで本を読みながら注文の品が提供されるのを待っていました。
このお店は厨房から外の券売機前のお客さんの様子がよく見えるようになっていて、店員さんが「次、お子さまを含めた3名さまがいらっしゃいます」と話す声が聞こえてきました。外に目をやると、3歳くらいの小さな子が目に入りました。
すかさず席を立って「私たち、カウンターに移りますね。お子さん連れのご家族はテーブル席の方がいいと思いますし」と店員さんに伝えると「いいんですか? ありがとうございます!」と感謝の言葉をかけてくれました。その後、家族が入店すると同時に私たちはカウンターに移動し終えました。
その後も店員さんは何度も「お席を移っていただいてすみません、ありがとうございます」と言ってくれました。最終的には、私たちが席を立つときにも「お席を変わっていただいて、ありがとうございました」と再度言われ、合計で5回くらい言われたでしょうか。
感謝の言葉をかけてもらえるのはうれしいことですし、決して悪い気分にはなりません。ただ、こちらとしては「どうしてもテーブル席に座りたかったわけではなく、子どもを含めた家族連れならテーブル席のほうが適しているだろう」「小さな子どもにとって、背もたれのないカウンター席は大変だろう」と、自然な想像の過程で席を移っただけでした。
だから、ここまで何度もお礼やお詫びを告げられると「特別なことをしたわけではないのになあ……」といった気持ちになります。
ありがとうという言葉はいいものですが、何事も適量があります。1アクションに対し一度伝えれば、気持ちは十分に伝わるものです。もう一度伝えたいなら、最後に「先ほどはありがとうございました」と締めくくるくらいでいいのではと思いました。過剰なお礼は時に相手を戸惑わせることもあります。
そんなことを感じたラーメン店での出来事でした。とても美味しくて感じの良い店だったので再訪しますけれども!
Text / 池田園子
【関連本】『ありがとうの魔法』
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