「納得する」と「後悔しない」という言葉と向き合う機会がありました。どちらも「生き方」を形容する言葉として、どちらが対象者により響くだろう? という流れで考えたのです。
最初の案は「納得のいく生き方」でした。人は「損をしたくない」と強く願う性質があるからこそ、「後悔しない生き方」もひとつの選択肢になるのではないか。私はそう提案しました。
結果的には「受け入れるスタンス」がベースにある「納得」に着地。抗うのではなく、目の前の現実を飲み込んだ上で、残された期間をどう生きるか。そんな意図が込められています。
対象の年代によって、納得なのか後悔なのか、より効果的に機能する言葉は変わります。
「後悔」の念は過去を振り返るときに生まれるもの。過去にしたこと、あるいはしなかったことに対して「あのときあんなことしなければ」「あのときこうしていれば」と悶々とすることが後悔だとすれば、矢印は完全に過去に向いています。
一方、「未来の自分が現在を含む過去を振り返ったときに後悔しないようにする」という視点を持つと、後悔を未然に防ぐために「今、何をするか」を考えることができます。未来から逆算して、今の行動を選択することが「後悔しない生き方」になるということ。
たとえば、身体が自由に動くうちに運動をサボっていると、高齢になって関節の動きが悪くなったときに「あのとき運動しておけばよかった」と後悔するかもしれない。そんな状況が想像できるなら、今意識的に運動を取り入れておく、といったふうに。
逆算思考で「今何をするか」「今何をしないか」を選択し、実行に移していくことで、未来の自分が人生に対し「後悔はそんなにない」と言えるのではと考えています。「そんなに」と曖昧さを残したのは「後悔はゼロです」と断言し切れないと思うから。
納得するためにも、後悔しないためにも「今に真摯に向き合う」意識を持ち続けていたいです。
Text / 池田園子
【関連本】『「今、ここ」に意識を集中する練習』
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