「イラッ」発生の根本を知り、行動を変えるための言語化

 

「小さなイラッ」がどこから発生するのか、どうすればそれを防げるのか、言語化できた話をします。「心が狭いなあ」「ちっちゃいヤツだなあ」と思われる方もいるかもしれませんが、きっかけとなった「半熟ゆで卵事件」と気づき、ネクストアクションについて書きます。

ある日、ゆで卵をつくることにしました。すると、パートナーのTAROが「自分は半熟が好きだから、半熟でつくってほしい」と頼んできました。

我が家でゆで卵をつくるときは、電気圧力鍋の「ゆで卵モード」を使っています。内鍋に水を入れ、蒸し台に卵を置いてセットすれば、約12分で完成。放っておけばいいのでラクなんです。

ただし、このモードでは、半熟や固ゆでなどの細かい調整はできません(いつも同じ設定・同じ水量でつくっているにもかかわらず、日によって出来が違うのは不思議ですが)。

そんな中で、「じゃあ8分にすれば?」とTARO。調理時間を短くすれば半熟になるのでは、といったことを言います。途中で蓋を開けられるような仕様ではなく、そもそもそれで本当に半熟になるかもわからないし、いつもオートでマニュアルで操作したことはない。そう伝えると、彼は「できるように考えればいいじゃん」と言いました。

その瞬間、「嫌な言い方するわ」とイラッが一気に膨らみました。

とはいえ「できるように考えればいいじゃん」=「できない方法を挙げるのではなく、できる方法を考える」といった建設的な発想であり、仕事はもちろん人生全般に適用できることです。それは分かっている。だから反論できませんでした。そこに反論すると、自分が「できる方法を考えない人」であることを主張するようで、かっこ悪いなと思う気持ちが働いたのです。

「調べてみるわ」と低い声で伝えたあと、製品説明書やレシピを見たり、つくり方をネットで検索したり、AIにも尋ねたりしてみましたが、決定的な方法は見つからず。参照元も曖昧で、確実なやり方はわからないままでした。

私は「半熟ゆで卵が確実につくれる方法に辿り着かなかった」と伝えて、話は一応収まりました。ただ、モヤモヤした感情は消えませんでした。

なぜ、ここまで嫌な気持ちになったのか――。その後、ひとりになったとき、ノートに脳内の言葉をつらつらと書き出しながら、そのときの思考や行動を振り返った結果、気づきました。

「半熟ゆで卵を食べたい」。その主語は私ではなく、相手である。
相手の希望を叶えるために、具体を調べ、試行錯誤しているのは私。
相手は下調べもせず、適当な調理時間を伝え「つくって」と言っているだけ。
相手は自分の希望を叶えるための動きをせず、他人に丸投げしている。

そうか、相手の思考・行動態度に対して私はイラッとしたのだと、ようやく腑に落ちました。言葉や言い方自体ではなく、態度に対してです。

他者に依頼するなら、相手の工数を配慮し、自分も一定程度調べた上で、相手に手間をかけさせない方法だってあります。発注者と受注者が存在する「仕事」において、超ざっくりな丸投げはあります。それはそれで、対価をいただく方が諸々調べる、というのは納得できますし、むしろ裁量の大きい丸投げは「やったー。任せて」と思うこともありますが、今回の件は仕事とは異なる枠内にある話。

次に同じようなことがあれば、「あなたの分だけ〜〜してほしい(特別な対応をしてほしい)というケースでは、まずその方法をご自身で調べた上で依頼して」と言葉にして伝える、と方針を導き出すことができました。

こうして振り返ってみると、自分の分は半熟ゆで卵にしてほしい、という些細な話ではありますが、「自分のイライラの原因を知ること」「イライラを引き起こさない根本的な方法を考えること」は大事だと感じました。

自分の思考と対峙して言語化し、負の感情は手放して、行動を導き出し、実行してまた振り返る——これこそが人生をより良くするサイクルだと確信しています。

これからも日々何らかの形で心が動いたときは、落ち着いて内省する時間を確保していく予定です。

Text / 池田園子

【関連本】『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。

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