よく生きたい——。よく、というのは「良く(誠実に)」「心地よく」という意味です。
そんな目的を掲げて、諸学の根本を成す哲学、そこから派生した心理学など「普遍的ともいえる教え」にふれていると、よく生きるための在り方というのは、最終的には「自らコントロールできることだけをコントロールする」「自らできることに集中する」という考えに行き着くのだと、つくづく感じます。
生きていると感情がネガティブなほうへ揺れて、思考や行動に影響を及ぼすことがあります。恥ずかしながら、まだまだ人間として未熟なのです。負の感情の根っこを辿っていくと、人との関係にたどり着きます。アドラーが言う通り「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」に100%同意。
人間関係によってストレスが生じる理由とは。改めてそれと向き合ったとき、私が「自ら進んで心をすり減らし、人生のパフォーマンスを下げる選択をしていた」のは、自分ではコントロールしようのない範囲の事柄に意識を向けすぎていたからなのだと気づかされました。人から相談されると客観視できるのに、自分事だとその視点を失ってしまうことがあったのです。
アドラー心理学では「課題の分離」という考え方がよく知られていますが、それとまったく同じことです。私が全力で取り組むのは自分の課題だけで、相手の課題にはタッチしないこと。私が考えるのは、自分の影響が及ぶところまで。そこを明確に線引きしなかったために、心が浮遊していた時間を振り返ると、もったいないなと思います。
「範囲外」のことをいくら考え、想像したところで、どうにかなるものではありません。そう自覚したとき「“そこから先”は関係ない」と手放す決心をしました。
アドラー心理学は2010年代前半に注目を集め始め、私にとっては10年以上前に一度さわったものですが、2025年初めから学び始めて夢中になっているストア哲学との共通項に興奮しています。そこで、アドラーの教えも学び直したいという思いが芽生え、復習している最中です。
人生をよりよくしていくための深淵な学びから得たことを、自らにはもちろん、自分の在り方を通じて、周囲にもシェアしていけたらと思います。
また、自分の在り方がよくなることで、パフォーマンスを上げて、より貢献度の高い動きをしていく。それをイメージするだけで、学びがさらに楽しくなっていく今日この頃なのでした。
Text / 池田園子
【関連本】『ストア派哲学入門』
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