黒パンツがあれば、それでいい

「私が執着していたモノとの別れ」について綴る連載形式の雑記をスタートします。#1は「スカート」。

ボトムスはだいたいいつも黒パンツを選んでいます。にもかかわらず、スカートを3着も持っていました。黒、青、カーキの3色。

この1ヶ月で徐々に減らし、最後まで執着していたのはカーキのスカート。東京に住んでいた頃、自宅近くのセレクトショップで出会ったものでした。ハリのある生地に、広がりすぎない絶妙なシルエットに一目惚れ。足さばきの良さも、穿いたときのラインも◎。上は黒い革ジャンと白いカットソー、足元は黒い革靴という、辛口なコーデで組むのが好みでした。

しかし。そのスカートの出番は近年減っていて、直近だと年2回ほど。どんなに気に入っていても、活躍させることができなければ意味がないのだと、ようやく納得したのです。服はクローゼットにかけて満足するモノではなく、着るモノだから。私のように「持たない暮らし」をしたい人には「日常着」だけでいいのです。

この最後のスカートを手放すとき、同時に思いきって手放したのが、1着残していたワンピース。仕事で香港を訪れたときに現地で購入した、ネイビー地の品のあるデザインです。独特な模様が刺繍で入っていて、格式高いレストランに出かけるときやデート的なシーンで重宝していました。

ただ、そんな場面でも私は黒パンツというスタイルを選びがちで、ワンピースの出番も年に1〜2回。2024年は一度も着なかったかもしれません。これも結局、私の生活には馴染んでいなかったのです。

自分の定番ボトムスは黒パンツ。いつでも黒パンツでいい。それが「しっくりくる」ということ。ついに腹落ちして、スカートとワンピースを清々しい気持ちで手放すことができました。さようなら、今までありがとう。次の誰かにたくさん着用してもらえますように。

カーキのスカートとはお別れしましたが、カーキのパンツは持っています(あとデニムが1本)。光沢のある生地のカーキパンツは、シンプルなTシャツと合わせるのが好き。自分が心から好きなもの、日々着るものだけが、今は手元にあります。

これは、私が縁あって持っていた、そして同時に何かしらの執着心を抱えていたけれども、不要であったことに気づいて、誰かの元へシェアしていったモノたちの記録です。これからも、手放して気づいたことをぽつぽつと綴っていきます。

Text / 池田園子

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