「〜〜なふうに見られたい」。そんな思いや狙いがあって選んだ服は、結局あまり着ることがなく、手放してしまったものが多いなと、これまでの服の整理を通じて気づきました。
たとえば昔、気になる人と出かける予定があり、「少し色っぽく見られたい」という邪な気持ち(?)で買った白いブラウスがありました。襟ぐりが深すぎるわけではないけれど、デコルテが映えるデザインで、自分の鎖骨をきれいに強調してくれるものでした。私は自分の鎖骨が好きなので、それを生かして、女性らしさを演出したいという狙いがありました。
もちろん、白いブラウスが欲しくて買ったのですが、「鎖骨を見せられる白トップス」という条件を自分の中で設定していたように思います。「着たい」という素直な気持ち以上に、他者の視線を意識した選び方でした。
結果として、そのブラウスはほとんど出番がないまま、いつの間にか手放すことになったのでした。自分が着たい服というよりも、「特定の誰かにどう見られたいか」で選んだ服だったからだなと、今となっては手放した理由が分かります。
同じような理由で手放したのが、ワンピースです。以前別の記事でも書きましたが、「ちょっといいお店に行くときに相応しい服が欲しい」という思いから購入したものでした。けれども、その「相応しさ」は自分の内側から生まれたものではなく、「レディな印象に見られたい」という外側の視線を基準にしていたのです。結局、ワンピースも出番が少なく、手放すことになりました。
一方で、今手元に残っている服はすべて、「自分が着たい」と心から思えるものばかりです。ブルーが好きだから選んだとか、パンツのシルエットが自分に合っていて気に入っているとか、着ていて疲れないから好き、といった理由です。どれも、他人からどう見られたいという考えは入り込まないまま、自分の感覚や心地よさを基準にした選び方です。
そうやって選んだ服は、自然と頻繁に手が伸び、長く付き合っていけるものになります。これからも、他者の視線ではなく、自分の心が動くかどうかを大切にして、服と向き合っていきたいと思います。
Text / 池田園子
【関連本】『服を上手に手放すと、おしゃれはもっとラクになる』
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