「あったらいいな」と買ったモノは結局使わない。

「私が執着していたモノとの別れ」について綴る連載形式の雑記。#6は「鍋つかみ(ミトン)」。

引っ越しに伴う片づけの過程でミトンを手放しました。手のひらサイズの三角型のかわいいミトン。

ハンドメイド作品を扱うCreemaで3〜4年前、800円ほどで購入したものでした。ころんとしたフォルムや温かみのある柄にも惹かれて選びました。オーブンを使うときに「あったらいいな」と考えたからです。

しかし、オーブンの使用頻度は月に一度ほど。普段はオーブンレンジとして電子レンジ機能しか使っていませんでした。そのため、ミトンの出番はほぼないまま、オーブンレンジ隣に置いていただけでした。インテリア小物状態に。

今回の整理の際、「ほとんど使っていない=なくても困らない」と判断し、手放すことにしました。そもそも「あったらいいな」ではなく「必要だから」「ないと困るから」という理由で所有を決めるべきでした。

そして、振り返ってみれば、熱い何かを持つときに使える代用品は、生活の中にいくつもありました。

例えば、洗った食器を置いて乾かすための布、食器を拭くための布巾、タオル代わりの手拭いやハンカチ。そうした布類があれば、ミトンの代わりとして十分なほど役割を果たしてくれます。これまでもミトンがないとき、それらの布で代用してきました。

布類は優秀です。薄い布でも折り重ねれば熱に耐えられますし、形やサイズを自由に変えられます。数え切れないくらいの用途があり、ボロボロになったときは使い捨ての雑巾にもなるわけで。

思い返せば、ミトンを買ったばかりのころ、遠距離に住んでいたパートナーとビデオ通話をしていた際に、それを頭に乗っけてふざけて笑わせたりしたこともありました。「本来の用途」で生活に登場する機会は本当に少なかったといえます。

少ないモノで生きていくには、今あるモノをいかに工夫して使うかが大前提。どうしても代用できない場合に限り、選んで買うというステップに進みます。カーテンのように基本的に単用途のアイテムでなければ、複数の用途で使える可能性があるか、といった視点を持つのも必要。

これは「鍋敷」にも当てはまります。鍋敷も「熱い鍋を置く」というひとつの用途に限られていますが、手ぬぐいや布巾を敷いて代用できます。熱い鍋をテーブルに運ぶときに布を使った流れで、そのまま布をテーブルに敷いて鍋を置く。最近はそんな動きも日常的に行っています。

私たちは代用できるモノ=複数用途のあるモノに囲まれて生活しているのだと思います。それらの機能をフル活用することが、モノを大切に使うことだと捉えています。

Text / 池田園子

【関連本】『買わない暮らし。

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