「それ専用のアイテム」を新たに買い足すことなく、身近にあるモノで生活の問題を解決できたという、ささやかな成功体験についてお話しします。
1週間ほど前から、わが家のトイレのドアが開閉時、キーキーという軋み音を立てるようになっていました。
初日。なぜ急に? と不思議に思いつつ放置。
2日目。気のせいだろうと放置。(んなわけない)
3日日。気のせいではないと確信しつつも放置。(見てみぬふり)
4日目。ドアの音について考えるのを放棄して放置。(耳パタ)
8日目。「トイレのドア、うるさいね急に」と初めてパートナーとの会話に上げる。ふたりともそれでも放置。
そんな感じでやり過ごしていたのですが、次第にその音が大きくなってきたような気がして、10日目くらいにしてようやく「そろそろ対処したい」と行動することに。(後回しは良くない)
調べてみると、蝶番部分に潤滑オイルスプレーを使えば音は解消されるとのこと。しかし、専用のアイテムを新調するのではなく、家にあるモノで対処したいという思いがありました。
だって、蝶番用のオイルスプレーを買ったところで、基本的に使えるのはキーキー問題解消時のみです。1年365日、何度出番があることか? おそらく364日以上、出番はないです。
実家を出て20年、ここまで10回もの引越しをしてきましたが、オイルスプレーを買った経験は一度もありません。キーキー問題が起きるのもレアすぎる、と考えられます。実家ですら、オイルスプレーを見た覚えがありません。
長々と書いてきましたが、つまりはオイルスプレーを買いたくない。所有したくない。
そこで私たちは、まずドアを取り外すことにしました。パートナーにドアを取り外してもらい、私が蝶番の心棒といわれる接続部分を拭き取りました。
その後、潤滑オイルの代わりに使ったのは、普段スキンケアに使っているキャスターオイル。洗面所にあるのを見て、食用でなければいっか、と判断。綿棒に少量とり、金具部分に塗布。最後にドアを再び取り付け(彼がラクに取り外していましたが、取り付けには苦戦していました)、確認してみたところ……見事に嫌なキーキー音が消えていたのです。
これは決して特別なことではありません。ただのドア音の調整。たったそれだけのこと。でも、私たちにとっては大きな達成感のある出来事でした。
「今あるものでなんとかする」。この考え方こそ私が大切にするようになった暮らし方です。
Amazonで「ドア キーキー 解消」と検索すれば、すぐに適切な商品が見つかるでしょう。でも、その前にまずやり方を調べ、解決に向けて必要なモノを知り、それが家にあるかを確認する。なければ代用できそうなモノがないかを考える――このプロセスが、自分たちの生活をより丁寧に、そして創造的にしてくれる気がします。
モノを減らして暮らすというのは、ケチになるとか、我慢をするのとは違います。安易にお金を使って簡単に解決しようとするのではなく、今あるモノを生かして暮らす力を育てることでもあります。今回の経験は、その実感を改めて与えてくれるものでした。
これからも「まず買わない」選択を大切にしながら、暮らしの中の小さな課題を、自分たちの手で解決していきたいと思います。
Text / 池田園子
【関連本】『買わない習慣』
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