38,000円。2020年に購入したポメラートのリング ブレアを売却して手にしたお金。
ハイジュエリーを買い始めたのは、2016年に離婚して、数ヶ月経って元気回復したあとのこと。婚約指輪と結婚指輪は、5年ほど憧れていたブランド、BOUCHERONを指名して、当時の夫に購入してもらった。
検索すると分かると思うが、BOUCHERONで婚約指輪と結婚指輪を買うとなると、えげつない金額になる。当時の夫がそこそこお金持ちだったとはいえ、あんな高価なモノを買わせて申し訳ないと、心の中で深く謝罪している。
もう身につけることがなくなったそれらに代わって、この先は自分の人生を自らの手で切り拓いていくという覚悟を込めて、新たにBOUCHERONのキャトル リング ラージという4連のリングを購入した。
もともとBOUCHERONというブランドは、会社員だった頃、職場の偉い人が薬指につけていて知った。唯一無二のデザインに魅せられ、ブランドのことを調べて、いつかは私も結婚指輪として身につけたいと願っていた。
純粋にデザインが好きだっただけで、その偉い人に憧れていたとか、人として好きだったとか、そんな気持ちは特にない。でも、デザインやブランドの在り方に惚れる、というのが「正解」だとのちのち理解することになる。BOUCHERONのリングは結婚中はもちろん、離婚後に自分で購入した分も、毎日のように身につけていたから。
そして、2020年。ポメラートのリングを購入。4年に1度、自分のためにハイジュエリーを買うという、派手なお金の使い方をしていた時期だった。ポメラートは仕事でつながりのあった女性が紹介していたブランドで、気になって調べるうちに欲しくなった。
ただ、BOUCHERONのときとは違い、熟慮を重ねたわけではなく、安易な気持ちでの購入だった。ブランドを知ってから1年も経たない間での購入だったのは、ブランドそのものの魅力よりも、その女性のライフスタイルや発信への憧れが大きかった。『欲望の見つけ方』(ルーク・バージス)で語られている「模倣の欲望理論」そのものだけれど、当時の私はそんなことを理解していなかった。
結果として、ポメラートのリングは身につける機会は多くなかった。もちろん気に入ってはいたけれど、BOUCHERONと比べると出番は遥かに少なく、たいていジュエリーボックスの中にいた。
それでも高価な買い物だったし、ときどきはつけるという理由で手元に置いていたが、最近ではBOUCHERONのリングでさえ、週に一度身につける程度。BOUCHERONは何かが起きて困窮してしまったときを除き手放すつもりはないが、ポメラートは「なくてもいい」と思えるようになった。手持ちのアイテムを絞り込みたい気持ちもあった。
決断の背景には、その1週間ほど前にペアリングを売却した経験がある。コロナ下のときに付き合っていた恋人と贈り合った、オーダーメイドのプラチナリングを売りに行ったところ、13,800円で買い取ってもらえた。それが後押しになり、今回のポメラートも思い切って手放すことにしたのだった。
とはいえ、ポメラートは大人向け女性誌などで一定の知名度こそあるものの、ティファニーやブルガリほどメジャーなブランドではないことから、思っていたほどの金額では売れなかった。純金ではないことも関係し、買い取り額は38,000円。購入当時の価格が確か30万円台後半から40万円ほどだったことを考えると、ほぼ10分の1。そのくらいになる見込みだったので、納得の上で買い取ってもらった。
得た38,000円は貯蓄に回してもいいけれど、使い途は考えていた。パートナーのTAROが好きで、一度は行ってみたい! と言っていたアーティストのライブのチケット購入に充てようと。
チケットが取れればTAROへの誕生日プレゼントにしようと決め、まずはファンクラブに入会し、チケットの抽選にも申し込んだ(当選結果は5/30中に判明するらしい)。ライブに当選できれば、お金は非常に有意義に使い切ることになる。
今の自分には不要なハイジュエリーを売ったお金で、誰かと一緒に過ごす時間や思い出を買う。それはとても満足のいく選択だと感じる。この先、私はハイジュエリーを買うことはない。身につける機会も少なく、買った瞬間から価値が下がることも、何度もの査定・売却経験から悲しいほど知っている(涙)。
もちろん、誰かがプレゼントしてくれるならありがたく頂戴するが、もし何か高額なモノを贈ってくれるなら体験系の方がいいなあとリクエストするだろう。京都にも美味しい日本料理、イタリアン、フレンチ、中華……たくさんあるし、何らかのアクティビィティや旅というギフトも最高。
直近の自分の思考や行動から、価値観が大きく変わってきているのを興味深く感じている。
⭐️生活見直しワーク
1)身につけていないジュエリーをつけて出かけてみよう。その日、気分はどうだったか言語化してみよう。
2)もしワクワクするなら今後も身につけて。ワクワクしなければ、手放し候補にしてもいいのかもしれない。
Text / 池田園子
【関連本】『欲望の見つけ方: お金・恋愛・キャリア』
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