何年も前からゴミ箱のない生活をしている。ゴミは日々出るものだからゴミ箱は必要だと長年思い込んでいたけれど、30代前半で1DKの部屋から1Kの部屋に引っ越したタイミングで手放した。引っ越しの荷造りをしていたとき、40Lサイズのゴミ箱を大きすぎると感じたから。
ゴミ箱を手放すことで、ゴミ箱そのものを清潔に保つための清掃作業が不要になった。ゴミ箱はどんなに気を使っていても内側が汚れたり、臭いがこもったりする。水気のあるゴミを少しでも捨てると、蓋付きのゴミ箱は蒸れてしまう。ゴミ箱メンテナンスから解放されるのはうれしい。
もうひとつ、大きなメリットがあり、それなりに存在感のあるゴミ箱を手放すと、やはり荷物全体の体積が減る。引っ越し時のダンボールの数もひとつは減らせる。
ゴミ箱なしでも快適な暮らしはできる。ここでは生活の中で実験しながらたどり着いた、ゴミ箱を持たない暮らしの工夫を紹介したい。
東京に住んでいた頃は、ゴミ袋の指定がなかったため、スーパーでもらったポリ袋をそのままゴミ袋として利用していた。当時、スーパーの袋は無料だった。2020年夏から有料になったけれど、それまでにもらって溜まっていた袋をゴミ袋に使用していた。
2022年、福岡に引っ越してからは、自治体指定のゴミ袋を使うことになり、袋には持ち手がついていたので、それをシンク付近にS字フックで掛けるスタイルに。
2024年になり、大阪府豊中市に移り住んだ際は、指定袋に持ち手がなくて驚いた。製造コストの問題? でも、使う人にとっては不便ですよね? と疑問に感じつつ、床に直接袋を置いて利用していた。ゴミの量が少ない間はくたっとして自立しないのだけど、袋が床にあるだけでも、ゴミ入れとしては充分に機能していた。
そう、ゴミ箱でなくても、ゴミ入れでいい。ゴミを入れられる、ゴミを溜めておける機能があるモノであれば十分だから。
現在、京都市に住んでいる。京都市も指定ゴミ袋があり、今度は持ち手つきのデザインだ。ありがたい。ここでも、袋をシンク周りに掛けるスタイルを続けているけれど、「移動式ゴミ袋」という発想を取り入れたのが、自分としては新しい。
はじめは冷蔵庫の取っ手部分に、ステンレスのワイヤークリップをふたつ使ってゴミ袋を引っ掛けていた。シンクで作業をしたとき、身体を捻って振り返ればゴミを捨てることができる。
でも、快適ではなかった。一番下の冷凍庫を開けるとき、袋が邪魔で仕方ない。別の方法を考えることにした。
次に試したのは、シンクの端に設置されているタオル掛けにワイヤークリップを引っ掛ける方法。ただ、ここにゴミ袋を掛けると、シンク下の引き出しを開ける際に不便さを感じる。
冷蔵庫にしても、このタオル掛けにしても、そこにゴミ袋を掛けると、その下の引き出しを開けるときにストレスになるのは同じで、問題解決になっていない。
そこで思いついたのが、調理中はキッチン上部の棚の持ち手部分にゴミ袋を一時的に掛ける方法。ワイヤークリップを使っているため、一瞬で移動させることができる。調理後やシンク周りの片付け後は、ゴミ袋をタオル掛けの場所に戻すようにしている。
ゴミ箱を持たない暮らしは、ちょっとした工夫で実現できる。引っ掛ける位置を固定化しないことが、台所仕事の快適性を上げるのだと気づいた。何事も固定思考ではいけないなあと、気づかされた日常の出来事だった。
⭐️生活見直しワーク
1)あなたはゴミ箱を使っていますか? 使っている人はその理由や目的、助かっていることを書いてみて。使っていない人も同様に。
2)ゴミ箱を使っている人は今後もゴミ箱を使いたい? 使いたくない人は今の部屋で何をすればゴミ箱をなくせるか考えて、書き出してみよう。
Text / 池田園子
【関連本】『フランス人の部屋にはゴミ箱がない』
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