お金に対する考え方やお金の使い方というのは、その人の個性が出て面白いから、見聞きするのは好きです。
少ない暮らしへと移行し始めてから、ミニマリストを名乗るいろいろな人たちの発信に触れてきました。そのなかには、事業の売上の多さとは関係なく、月々のコストを極限まで抑え、無駄な支出を削りに削り、資産形成に全力投球する人もいます。
生活の収支を聞いたとき、家族全員でその金額で暮らせるの? と驚いたものです。大人ふたりと猫1匹で暮らす自分たちの生活コストと比較して、圧倒的に少ない支出で暮らす人の存在に衝撃を受けました。当然、住む場所や部屋の広さ、家賃、住居費など、生活のベースとなる要素には差があって、単純比較する意味はないとはいえ、その生き方に驚きました。
私も一定程度のお金を投資に回し、資産形成をしています。ただ、生活の彩りや潤いの9割を手放して、投資に回す生活は望んでいないのだなあ、という考えに至りました。希望の持てない年金制度の問題もあり、将来への備えは自分でやる必要があります。
ただ、「お金は来世に持っていけない」という事実もあります。昔『DIE WITH ZERO』を読んで、私も資産を有意義に使い切って死にたいなあ、という思いを抱いた経験も大きいです。誰かに遺すためのお金をキープしておく、という発想はありません。遺産の国庫行きは避けたいので、一応「自分が死んだらすべての資産は一旦親へ回してほしい」という簡易遺言書を遺しています。
また、保険も最低限にしか加入していないため、公的保険に頼りつつ、大病を患った場合は貯蓄を使えばよいと考えています。「今を生きる自分」の人生は「今世」しかなく、お金はあの世に持っていけない前提があります。その中で一定の楽しみや体験を大切にしたいと思っています。浪費は避けるようになりましたが、過度な節約で自分の行動を縛るつもりもありません。
少なく生きることを実践しながらも、中庸でいて、「今、この世界」を楽しむために、有意義なお金の使い方をしていきたいと思っています。
Text / 池田園子
【関連本】『DIE WITH ZERO』
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