コットンをやめた日

「相棒」。そんな言葉が相応しいコットン。アイメイクを落とすときに、20年以上使ってきましたもん。

1年365日のうち、仮に300日アイメイクを施したとします。1日に1枚使うとして、300枚×20年=6,000枚以上使ってきた計算。1包装あたり100〜200枚で200円くらいのリーズナブルな商品を買ってきました。ドラッグストアで30〜60回はコットンを購入してきたことになります。数字にしてみると面白いですね。

相棒だった存在は先日、私の生活から消えました。あっけないものです。コットンの在庫が切れてからおよそ1ヶ月。代わりに使っているのはティッシュです。

ティッシュを1枚取り、コットンくらいのサイズに折りたたみ、そこにチャコットのクレンジングウォーター(私はポイントメイク落としとして使用)を染み込ませて使います。

使う前は「ちょっと硬いかも?」と想像していたものの、思いのほか肌への刺激はなく、不快感もありません。

コットンが切れた直後、最初に試したのはティッシュではなく、3cm四方くらいに切り刻んだボロ布でした。普段は食前・食後のテーブルやちょっとした汚れを拭くための、使い捨ての布巾として使っています。

これでメイク落としができれば、ティッシュの使用量も減らせる。そんな狙いがありましたが、メイクは落ちづらかったです。布はメイク落としには向いていないと判断。生まれて初めて、コットン以外の素材で目元メイクを落とす実験をした瞬間でした。

先日の出張でも変化がありました。これまでの私は、出張や旅行の際には、使う分だけのコットンと綿棒を準備して、スキンケア用品とセットにして持参していました。でも、綿棒だけで十分に。ティッシュはどこの宿にも置いてあるので、コットンの分だけ荷物をひとつ減らせたのでした。

「ポイントメイクはコットンで落とすもの」。これまで何の疑問も持たず、そう思い込んでいました。メディアではコットン使用が当たり前のように紹介され、ほかの選択肢が提示されているのを見たことはありません。無意識のうちに、それが正解だと思い込んでいたのです。

でも今回、コットンがなくなったのをきっかけに、代用品候補を試してみたら、何も問題ないことが分かりました。ティッシュの用途が増え、持ち物が減り、コットンを買い足す手間やコストもかからない。

代用するという発想。なくても、別のモノでなんとかなるという柔軟さ。それは暮らしの中の小さな実験であり、自分の思い込みと向き合っていくひとときでもあります。

コットンをやめたことで、また少しかろやかになれた気がします。次はどんな当たり前を疑ってみようか、と考えるのも楽しいです。

Text / 池田園子

【関連本】『在り方

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