大勢の場がしんどい私に、本が教えてくれたこと

『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』を手に取ったのは、心理療法士イルセ・サンが本書を出版した2016年のこと。HSPという言葉が日本で広く知られるようになったのは、その2年ほど後だったと記憶しています。本を通じて、自分が大勢の人の集まる場所を苦手とし、長時間の交流で強い疲労を覚える特性を持っていることに気づきました。

年齢を重ねてもその傾向は変わりません。仕事の関係で賑やかな場に出向けば、知らない人ばかりの中で「やはり自分はうまくなじめない」と情けなくなります(食事して一晩寝たら回復しますが)。

先日、本書の新版を読み返しました。9年ぶりに触れて得たのは「これは直すべきものではなく気質なのだ」という理解でした。学生時代から集団に馴染めなかった私にとって、大勢の中で過ごすのは本質的に苦しいこと。避けても問題ないものは避け、避けられないときは自分を守る工夫を持てばいい。克服よりも、受け止め方と付き合い方が肝だと感じました。

少人数や感性の合う人との関わりなら心地よく過ごせる——それが私の気質です。不特定多数の誰とでもうまくやるのは難しい。でも、この気質を受け入れながら歩んでいこうと思います。

Text / 池田園子

【関連本】『鈍感な世界に生きる敏感な人たち 新版

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