“Hey, buddy!” 朝、洗面所に響くその声は、誰かに向けたものではない。鏡に映る、自分自身に向けた呼びかけだ。
思わず笑ってしまうこの習慣は、『心に、光を。 不確実な時代を生き抜く』の中で紹介されていたエピソードである。著者は、元アメリカ大統領夫人のミシェル・オバマ。彼女の友人の夫が、毎朝、鏡に向かって“Hey, buddy!”と自分に声をかけているというのだ。
この話を読んだとき、私は夜中にもかかわらず、声を出して笑ってしまった。そして翌朝、さっそく試してみた。

トイレに行き、うがいと舌磨きを済ませて、洗面台の前に立つ。むくんだ顔を見つめながら、“Hey, buddy!”と言ってみる。
WAO!!!! これは、すごい!
“Hey”と発音すると、口が横に開く。自然と笑顔になる。“buddy”も同じだ。ディ、で口角が上がる。この言葉は、自分を励ましながら、笑顔もつくってしまう仕組み。
日本語の「おはよう」では、こうはいかない。母音が縦に落ちるため、表情はそれほど変わらない。けれど“Hey”は違う。言った瞬間、顔が変わる。こんなにも身体に作用する言葉があるのかと、今さらながら感心した。
鏡の中の自分は、完璧とは程遠い。それでも笑っている。その姿を見て、嫌な気持ちはまったくしなかった。むしろ、「あ、私、朝から楽しそうだ」と思えた。
自分は、自分にとって一番の相棒である。その相棒に向かって朝一番に笑顔で声をかける。これほど理にかなった習慣があるだろうか。
言葉が変わると、思考が変わる。思考が変わると、感情が変わる。感情が変わると、行動が変わり、やがて人生の方向も変わっていく。これは、認知行動療法などの心理学でも支持されている考え方。“Hey, buddy!”は、この考え方を日常に取り入れるための第一歩になる。
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現在読んでいる『心に、光を。 』は文庫版で、軽くて持ち運びやすい。珍しく紙の本を購入し、外出先へ持ち歩いたり、夜寝る前に少しずつページをめくったりしている。この小さな本の中には、日常を明るく照らすヒントが詰まっている。
明日の朝も、鏡の前でこう言おう。“Hey, buddy!”
Text / 池田園子
【関連本】『心に、光を。 不確実な時代を生き抜く』
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