足すより、生かす。40歳のメイク

先日、40歳の肌をつくっているスキンケアと、それを夜に「落とす」ことについて書きました。今回は、その上にのせる「メイク」のことを。

メイクが好きです。とくに、アイメイクが好きでした。

大学生からメイクを始め、もう20年以上、いろいろなアイシャドウを試してきました。プチプラからデパコスまで、多様なブランドを使ってきました。新色、限定色、ラメ、パール、マット。目元に色をのせる楽しさを、ずいぶん味わってきたと思います。

そんな私が、アイメイクの中心にしているもの。それは、アイシャドウではありません。セザンヌのアイブロウパウダーです。

本来は眉に使うものです。眉を自然に見せるためのパウダー。それを、私は目元に使っています。

眉そのものには、もう何年も手を入れていません。三年前に入れたアートメイクがきれいに残っているからです。アイブロウパウダーは、私にとって目元のためだけのパウダー。本来の使い方からは離れていますが、これがアイメイクの中心になっています。

きっかけは、ヘアメイクアップアーティスト・赤松絵利さんの『世界一シンプルなナチュラルメイクの教科書』を読んだことでした。流行の顔になる方法ではなく、自分の骨格や色を生かす考え方が紹介されていて、その普遍性が気に入りました。

40歳を前にした今、私が求めているのは「別の顔になること」ではなくなりました。

目を大きく見せたい。シミやそばかすを消したい。そういう気持ちが、まったくなくなったわけではありません。それ以上に、自分の顔立ちをそのまま生かしたいと思うようになりました。

赤松さんの本で出会ったアイメイクの理論は、その意味でとても大きな発見でした。

目元には、顔の中にある色だけでいい。瞳の黒、眉や髪の色、肌の色。その延長線上にある色で陰影をつくれば、メイクをしているのに、最初からそういう目元だったかのように、自然に美しく見える。色をのせて飾るというより、影を足して輪郭を整える。そこに、私がしたいメイクの答えがありました。

本では、三色のアイブロウパウダーをアイメイクに使う方法が紹介されていました。掲載されていたのはデパコスのものでしたが、私はドラッグストアで買えるセザンヌのものを使っています。

700円ほど。けれど、これが本当に優秀なのです。

使い方は、本に書かれていた方法を真似しています。薄いブラウンをブラシに取り、アイホール全体にのせる。下まぶたにはベージュを軽くのせる。さらに小さなブラシで、目頭に薄いブラウンを少し。最後に、薄いブラウンと濃いブラウンを同じくらい混ぜて、目尻の端にのせる。

たったそれだけなのに、目元に自然な陰影が生まれます。色を「塗りました」という感じではなく、もともとの彫りが少し深くなったように見える。もっと薄くしたい日は、ベージュをアイホールにのせるだけにすることもあります。

アイシャドウは、発色させることを目的につくられているもの。一方、アイブロウパウダーは、眉を自然に見せるために色や質感が調整されているもの。だから目元にのせてもなじみやすい。考えてみれば、理にかなっていることでもあります。

しかも、物が減ります。

眉に使っているパウダーを、そのまま目元にも使える。アイブロウとアイシャドウを別々に持たなくてもいい。ひとつの道具が、複数の役割を果たしてくれる。これまでたくさんのコスメを買ってきた私にとって、この発見はかなり大きなものでした。

私のメイクは、全体的にとてもシンプルです。

マスカラは塗りません。アイラインは、BIJOUMの黒いパウダーでまつ毛の際に少し影を入れ、目尻だけペンで足す程度です。BIJOUMのパウダーは、もう4年ほど使い続けています。知人から教えてもらったのを機に使い続けてきました。私のコスメの中で、変わらず定位置にあるものです。

ベースメイクも、日焼け止めを塗ったあと、クリームファンデを目の下の頬に少量なじませ、赤みを少し抑えるだけ。あとはハイライトで、ほんの少し高さを出す。やっているのは、それくらいです。

コンシーラーでシミやそばかすをカバーしようとしたこともありました。肌の色ムラを消して、均一に整えようとしていました。でも今は、そこまで完璧に消さなくてもいいと思うようになりました。

少し整えることはします。でも、全部を消してしまわなくてもいい。ナチュラルにぼかせれば、それで十分。そう考えるようになったら、メイクがずいぶん楽になりました。

40歳のナチュラルメイクは、手抜きではありません。薄くしているだけでもありません。

自分の顔に、余計なものをのせすぎないこと。もともとある色や骨格を見つめて、それを少しだけ引き立てること。欠点だと思っていたものを、無理に消そうとしすぎないこと。

つまり、足すのではなく、生かすこと。

たくさん買って、たくさん試して、いろいろなメイクを自分なりに楽しんできたからこそ、こうした自然な顔に落ち着いたのかもしれません。

セザンヌのアイブロウパウダーひとつで、目元が整う。本来は眉のためのものを、目元に生かす。物を増やさず、今あるものを生かす。そんな小さな工夫が、今の自分の気分にとても合っています。

40歳のメイクは、足すことよりも、生かすこと。足し算をやめた今のメイクを、私はけっこう気に入っています。

Text / 池田園子

【関連本】『世界一シンプルなナチュラルメイクの教科書

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