「積読ミックス」という、積読本を使った読書会に参加してきました。家にある「まだ読んでいない本」を一冊持ち寄り、その場で読むというイベント。
主催は、「誰もが有機的につながり、協奏が生まれ続ける世界をつくる」をVisionに活動するJam Sessionzさん。
趣味が積読だというJam Sessionzの河村翔さんと、シリアスゲームコーディネーターの武内伸雄さんが、積読をきっかけに意気投合して企画されたそう。
毎回テーマを設け、関心のある人が集まり、即興的に対話してみる。そこから協奏が生まれるかもしれないし、生まれないかもしれない。その偶然も含めて楽しむ、というコンセプトの場でした。
私がこのイベントを知った経緯も、振り返ると偶然の重なりでした。
きっかけは、「100人カイギ」で出会った方から「おつなぎさんプロジェクト」という勉強会を教えてもらったことです。その勉強会で出会った主催者の一人が、今度は別のビールのイベントに誘ってくれました。そこで出会った翔さんが、今回の「積読ミックス」を案内してくれたのです。
ひとつの出会いが次の場につながり、またその場での出会いが次の場へと私を運んでくれる。いろいろな人のつながりの先に、この読書会がありました。なんて豊かなことだろうと思います。
そんなご縁に運ばれてたどり着いた読書会は、進め方そのものも新鮮でした。
まずグループに分かれ、各自が持ってきた本を8分ほど読みます。読みながら、気になったキーワードや感じたことを付箋に書いていく。その後、自分が読んだ部分や感じたことをグループメンバーに向けてシェアし、対話する時間が続きます。
面白かったのは、そのあとです。次は、自分の本ではなく、同じグループの人が持ってきた本を読む。そしてまた同じように、付箋に書き、シェアし、対話する。
これまで読書会には二回参加したことがありましたが、どちらも「自分の本を読む」形式でした。人の持ってきた本をその場で読み、その本について語り合う体験は、私にとってかなり新しいものでした。

同じグループの方々が持ってきた本は、さまざまでした。私が知っている作家の本もあれば、「これはベストセラーになったよね」と思う有名な本も。そして、ちょうど最近の私が関心を持っていた上座部仏教に関する本を持ってきている方もいました。
特に私の心に刺さったのが、アルボムッレ・スマナサーラさんの『怒らない、落ち込まない、迷わない 苦を乗り越える宿題』でした。
その場でほんの数分読んだだけなのに、不思議と「今の自分に必要な言葉がここにある」と感じました。帰宅してから調べてみると、スマナサーラさんの著作はKindle Unlimitedで読めるものも多くありました。そこから少しずつ、気になる本を読み始めています。
考えてみると、私はその本を探しに読書会へ行ったわけではありません。仏教の本を見つけようと思って参加したわけでもない。案内を見て、なんとなく面白そうだと心が動き、その流れに乗って参加しただけです。
それなのに、結果として、今の私に必要な一冊に出会い、そのおかげでさらに読書体験が広がっています。
そして、出会えたのは本だけではありませんでした。私は高校の広報の仕事もしている関係で教育に関する本を持参していたのですが、同じグループには学校現場で働く方もいて、普段なら出会わないような立場の人と、本を介して自然に話せたのです。
こういうことがあるから、人と会うことや、場に出ていくことは面白いのだと思います。
何かを得ようと狙いすぎると、かえって出会いは狭くなるのかもしれません。けれど、少し心が動いた場所に、かろやかに足を運んでみる。そこにいる人たちと同じ時間を過ごし、その場を味わってみる。すると、自分では予想していなかったものが、ふっと目の前に差し出されることがあります。
Jam Sessionzさんが大切にしている「協奏」という言葉は、この読書会にとてもよく合っていました。
本を読む時間。付箋に言葉を書き留める時間。自分の感じたことをシェアする時間。人の本を借りて読む時間。誰かの言葉を聞きながら、自分の中にある関心に気づく時間。
それぞれの人が持ち寄った本と言葉が、即興演奏のように重なっていく。あらかじめ決められた正解に向かうのではなく、その場に集まった人たちの反応によって、思いがけない方向へ話が広がっていく。まさに、その場で協奏が生まれていくような読書会でした。
今回得た一番の学びは、「少しでも心が動いたなら、その場に行ってみる」ということでした。狙いすぎず、その場を味わう。そうしているうちに、必要なものは自然とやってくるのかもしれません。
積読とは、読まれずに眠っている本のことです。けれど本当は、本のほうも出番を待っているのかもしれません。読むべき人のところへ、読むべきタイミングで届くのを、そっと待っている。
そんなことを感じた、ありがたくて、面白い夜でした。
Text / 池田園子
【関連本】『怒らない、落ち込まない、迷わない 苦を乗り越える宿題』
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