自転車に乗りながら、英語を話す

音読とシャドーイングの練習教材にTEDのスピーチを使うことがあります。ここ数日向き合っているのは、リジア・マホヴァというポリグロット(多言語話者)が、語学学習の秘訣について語るスピーチ。

一文か二文ずつ区切られた音声を、まずは文章を見ながらシャドーイング。2・3回目は文章を見ずにシャドーイングする。そんな流れで練習しながら、彼女の話に、何度もはっとさせられました。

彼女が世界中のポリグロットたちに取材してわかったのは、方法は人それぞれでも、共通していることがあるということ。語学学習を楽しんでいること。ひとつの方法にこだわらず、いろいろ試していること。学習のために時間を無理に捻出するのではなく、日常の中に溶け込ませていること。自分の方法を振り返ると、私も同じような行動をとっていました。

これはよくわかります。「楽しい」があるから、続く。もっと学びたくなる。語学学習は努力であると同時に、豊かな遊びの一種でもあるのだと思います。

私自身も、英語のためだけに新しく時間をつくることもあれば、生活の隙間に英語を入れることもあります。家事中に英語ニュースやPodcastを聴く。歩きながら、思いついたことを英語で言ってみる。自転車に乗りながら、ひとりで英語を話していることもあります。

たとえば、「今度、近所の英語圏の家族に会ったら、最近学んでいる上座部仏教の話をどう伝えるだろう」と想像し、英語で話してみるのです。うまく言えないところもあります。でも、自分が今持っている語彙だけで、なんとか伝えようとする。語彙が足りなければ、後で調べてインプット・アウトプットする。その時間が、思いのほかいい練習になります。

ときには、歩きながらAIに英語で話しかけ、「これを伝わる英語に整えてください」と頼むこともあります。そして後で落ち着いたときに、その英文を見返す。自分では出てこなかった表現に出会えるので、それもまた学びになります。

自転車に乗っている時間は、英語を話す練習に向いていると感じます。もちろん、前方への注意は欠かせません。前を見る意識と、英語を口にする行為は、私にとってはあまり干渉し合わないのです。移動時間が、そのまま英語の予習・課題発見時間になります。

効果的とされる学習法はたくさんありますし、それぞれに意味があります。でも、必ずしも「正しい方法」だけに縛られなくていいのではないか。

大切なのは、続けられる形にすること。自分の生活の中に、無理なく英語を散りばめること。そして、少しでも楽しいと思えるやり方を見つけること。

私にとってご近所さんのように、日頃から英語を話す相手がいれば、それはとても恵まれた環境です。でも、相手がいなくても、英語を話す時間はつくれます。ひとり言でもいい。想像の会話でもいい。「この話を英語で伝えるなら、どう言うだろう」と考え、口に出すだけでも、英語は自分の生活に馴染んできます。

語学は、机の前だけで学ぶものではありません。歩きながらでも、自転車に乗りながらでも、日々の暮らしの中で取り組んでいけるものなのだと思います。

Text / 池田園子

【関連本】『100日後に英語がものになる1日10分 ネイティブ英語書き写し』

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