「明るい色のTシャツがもう一枚欲しいな」と思うことがあります。「必要かどうか」ファーストで生きているつもりなのに、なかなかそうもいかない。
淡いブルーやピンク。清潔感があってかろやかで、いいなあと思います。夏ならなおさら。
けれど、欲しいものと必要なものは違います。
わが家には猫がいます。しかも、皮脂が出やすいヘアレスキャット。抱っこをすれば茶色い皮脂や目やにがつくこともあり、服はけっこう汚れやすい。だから自然と、外出着のトップスは、黒やグレーをはじめとするダークカラーを選ぶことが多くなりました。服は理想だけで選ぶものではなく、自分の暮らしに合っているかどうかも大事。

ただ、明るい色のTシャツが必要なシーンが一つあります。夜に自転車に乗るときです。ボトムスもトップスも黒だと、夜道では車から見えにくい。だから上半身だけでも、明るい色を持ってきたいのです。
そう考えると、一枚あれば十分です。二日続けて夜に自転車で出かける機会は、そう頻繁にはありません。
もう一枚買いたくなったとき、私は自分の暮らしを思い浮かべます。猫のこと、汚れのこと、今ある一枚で足りていること。そうすると、買わない理由が自然に見えてきます。我慢ではなく、納得して手放す感覚です。
これさえあれば十分。そう思えるものが増えていくほど、暮らしは少しずつ軽くなっていくのかもしれません。
Text / 池田園子
【関連本】『賢い人 愚かな人』
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