変わる前提で始めてみる

何かに興味を持ったとき、以前の私は、つい大きく始めようとしていた。

せっかくやるなら、本格的なコースを選ぼう。長く続ける前提で始めよう。どうせなら、一番上のプランにしておこう。試せる小さな入口があるのに、最初からいちばん奥の部屋に飛び込もうとしていた。

でも、しばらくすると続かなくなった。あの熱量はどこへ行ったのか。そんな、これまでの失敗を振り返ると、物事は最初から大きく始めなくてもいいのだと考えるようになった。

少し前から、仏教への関心が高まっている。本を読んだり、暮らしの中で考えたり、実践を試みたりするだけでも学びはあるけれど、せっかくなら誰かの話を、講義という形で聞いてみたい。そうして調べているうちに、佛教大学のオープンラーニングセンター「O.L.C.」に目が向いた。

佛教大学(紫野キャンパス)はうちの近所にあり、O.L.C.の前を通ることもあるし、講座の掲示板を見て立ち止まることもあった。でも、ここまで意識を向けて、Webサイトを隅々まで見入ったのは初めてだ。対面、オンライン、オンデマンドと受講の形も選べて、仏教だけでなく文学や歴史、京都に関する講座まで幅広い。生活に合わせて学べる仕組みがいい。

そこで少し考えたのが、始め方だった。

半期ごとに一定額を払えば、講座を好きなだけ受けられるサブスク型プランがある。たくさん受けるなら、断然お得だ。今の自分の関心からすれば、仏教に関する講座をいくつも受けたくなるかもしれない。そう考えると、定額会員を選ぶのも自然な流れだった。

けれど今回は、そこまではしなかった。

まずは年会費1,000円の正会員になって、気になる講座を一つずつ申し込む形を選んだ。半期のサブスクにして、12本以上の講座を受けるならば、正会員として同じ本数の講座を受けるよりもお得に受けられる。とはいえ、興味のある講座があれば、その都度申し込めばいい。

この距離感が、今の自分にはちょうどいい。

始めたときの熱量は本物だ。でも、その熱量が半年後も同じ形で続いているかはわからない。自分を取り巻く状況が変わっている可能性はある。関心そのものが、少し違う方向へ移っているかもしれない。

仏教に「諸行無常」という言葉がある。すべてのものは瞬間瞬間で変わっていく、という意味だ。人の心も、関心も、暮らしも、同じ場所にとどまり続けるわけではない。それなら、何かを始めるときにも、「今の熱量がずっと続くはずだ」と決めつけなくていいのではないか。

変わりゆく自分を前提にして、始め方を選ぶ。

それが、今の自分にとっての「小さく始める」ということ。小さく始めるのは、本気ではないからではない。今の関心を大切にしながら、未来の自分にも余白を残しておくための選択だ。

続けたくなったら、次を申し込めばいい。もっと深めたくなったら、そのときにプランを変えればいい。違ったなと感じたら、少し距離を置けばいい。最初から大きく背負わないからこそ、かろやかに一歩を出せることがある。

何かを始めるとき、いつも大きな覚悟が必要なわけではない。まずは少し試してみる。やってみた自分の感覚を確かめる。そのうえで、次の一歩を選び直す。

そのくらいの始め方が、今の自分には合っている。

Text / 池田園子

【関連本】『まずは小さくはじめてみる

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