なるべく無事に、という暮らし

なるべく無事に過ごすことを、日々意識しています。

特別に用心深いわけではありません。ただ、小さな選択のなかで「これは大丈夫か」「もっと安全な方法はないか」を考える。それだけのことです。

たとえば、京都市内での移動。基本的に公共交通機関を使わず、徒歩か自転車で移動したいと思っています。

バスが自分にあまり合わないからです。人が多く、停留所ごとに停まり、時間がかかる。それなら自転車で移動するほうが早い。しかも、有酸素運動にもなる。景色も楽しめるし、風も気持ちいい。私にとって自転車移動は、一石二鳥どころか、それ以上の豊かさがある移動手段です。

けれど、そんな私でも、自転車に乗らない日があります。

雨の日です。

路面は滑りやすくなる。視界も悪くなる。自分の運動能力や反射神経を考えても、「これは危ないな」と思う。そこで無理をして怪我をしたら、元も子もありません。

だから、朝の時点で雨が降るとわかっている日は、自転車には乗りません。若干長距離であっても徒歩にする。あるいは苦手なバスに乗ることになっても、天気に合わせて、自分の行動を変える。

そうと決めてしまえば、ストレスにはなりません。むしろバスの時間に、読書が進むこともあります。

雨が降ること自体も、ありがたいものです。バス停まで歩く途中に聞こえる雨の音、雨の日だけの匂い、空の色の違い。選ばなかった道を惜しむより、選んだ道のなかにある小さなよさを見つける。それもまた、なるべく無事に過ごすための、心の持ち方なのだと思います。

雨でも自転車に乗っている人を見ると、「滑らないように」と心の中で祈ります。いろいろな事情があって、雨でも乗らなければならない人もいるでしょう。だからこそ、どうか無事に、と願います。

自分の弱さを認め、弱さを前提にして行動を選ぶ。それが私にとっての、なるべく無事に、ということです。

Text / 池田園子

【関連本】『リスク 不確実性の中での意思決定

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