我が家の食卓は、鶏むね肉と豚肉によって支えられてきた。
これは比喩でもなんでもなく、文字通りの話。スーパーに行けば、無意識に鶏むね肉か豚肉、ときどき魚をカゴに入れる。牛肉に至っては、最後に買ったのがいつだったか思い出せないレベル。ただ、間違いなく半年以上は前。
いや、もっとかもしれない。京都に引っ越して一年一カ月。自宅で牛肉を食べたのって……二回ぐらいじゃないだろうか。
超レアである。
牛肉が、超レアである(焼き加減の話ではない)。
そんな我が家に、数ヶ月前、Taroが素晴らしい情報を持ち帰ってきた。
なんでも、ナイスな精肉店を見つけたらしい。円町と二条のあいだにある「松坂屋精肉店」。ホームページもない、昔からあるお店。クリニックの事務員さんと一緒に外回りをしていたときに発見したそうで、牛肉の切り落としが100gで350円だというのだ。
……350円?
スーパーではまず見かけないお値段。「事務員さんに300g買って渡したよ。家族で食べてほしいなと思って。そしたら喜んでくれた!」とTaro。300gで1,050円だから、気軽にそういうことができてしまう値段なのだ。Taroはその話をうれしそうに聞かせてくれたが、トレーニーで鶏むね贔屓の私は「へえ、安いね」ぐらいにしか思っていなかった。
ところがある日、ふたりのあいだで「すき焼き食べたいね」という話になった。何がきっかけか、思い出せないけど。
すき焼きはごちそう。お店で食べると高くつく。じゃあ家でやろう、となって、そこでついに、松坂屋精肉店の出番がやってきた。

ビューティフル
土曜の昼下がりに自転車でゴー。よかった、まだあった。店主さんが親切な人だった。
ふたりで300g。お会計、1,050円。野菜や豆腐などの材料をあわせても、二人トータルで2,000円かからなかった。
食べた。いやあ……何この美味しさ。笑うしかなかった。

なんだこれ、牛肉ってこんなに美味しかったっけ。いや、美味しいのは知っていた。知っていたけど、久しぶりすぎて感動がリセットされていたのだ。「牛肉って美味しいんだね」と言いながら食べるふたりは、牛肉を初めて食べた人みたいだった。
今さらながら、牛肉の美味しさに感動してしまった。
というわけで、我が家は今後、週に一回ぐらいは牛肉を食べることに決めた。
牛肉が買えないわけじゃない。まあ、でも普通に買うと高いから躊躇する。そして、高たんぱく低脂質の王様食材・鶏むね肉と、リーズナブルで美味しい豚肉で満たされていただけで——でも牛肉をこんなにお買い得に買えるお店があるなら、話は別。牛肉をいただくとき、脂質は気にしない。
京都市中京区西ノ京近郊にお住まいの方、この辺りに立ち寄ることがある方、牛肉好きの方は、Google マップ(〒604-8417 京都府京都市中京区西ノ京内畑町1-5)をチェックの上、ぜひ足を運んでみてほしい。100gで350円の切り落としは、どう考えてもすごい。
そして我が家のように「牛肉、半年ぶりだな……」という生活をしている方にも、ぜひシェアしたくて書いた。
精肉店を味方につけると、人生がさらに豊かになります。
Text / 池田園子
【関連本】『使える牛肉レシピ』
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