京丹波町へ、鮎を食べに

京丹波町の和知へ、ひとり出かけてきました。目的は、鮎。

京都市内から電車に揺られて、およそ1時間15分。山に囲まれ、由良川が流れ、のんびりとした場所でした。

駅を降りると、周囲にコンビニやスーパーはなく、商店がひとつあるくらい。不便、といえるのかもしれません。でも、だからこそ「遠くまで来た」という感じがありました。今あるものを味わう。そんな気分になる場所でした。

今回泊まったのは、和知駅を出てすぐの「鮎茶屋 料理旅館 角屋」。明治三十二年創業の料理旅館で、魯山人が和知川(由良川)の鮎を絶賛したことでも知られているそうで、歴史のある宿です。

鮎の季節は、6月から9月上旬。角屋の鮎料理は天然鮎のみで、専属の鮎漁師さんが竿で釣り上げた活鮎を使っているとのこと。冬にはぼたん鍋や熊料理、秋には丹波栗や松茸料理もあるようで、季節ごとに丹波の食材を楽しめることが分かります。

私はお買い得なビジネスプランを予約し、そこに鮎の塩焼きを追加で用意していただきました。

夕食、とてもよかったです。鮎をつけなくても、鶏肉、豚肉、魚と、食べごたえのある一皿が続きました。お米もおいしく、実山椒を使った料理も印象に残りました。実山椒、大人っぽい調味料だなあと思います。ぴりっとした刺激と香りが、全体を引き締めてくれる感じがありました。

そして、鮎の塩焼き。鮎を食べるたび、「鮎っておいしいよなあ」と感動します。一年に一回も食べない魚だから、より特別に感じるのでしょうか。身は淡白で、どこか香りがあって、川魚らしい清らかさがある。塩焼きにすると、そのよさがとても素直に出る気がします。

由良川のような清流のある地域で、夏に鮎を食べる。これだけで、旅の理由として十分でした。

旅館のお風呂も快適でした。家族風呂のような形で、浴室が二つあり、いつもより広い湯船にのんびり浸かることができました。大きな温泉宿のような派手さはありませんが、静けさに包まれた土地で、ゆったりお風呂に入る。それだけで、なんとも贅沢です。

部屋に戻ってからは、近くの「長老酒造」で買った地酒のカップ酒を開けました。旅先ではなるべくその土地のお酒を買うようにしています。今回は昆布(京都市内で事前購入)をつまみに、読書をしながら部屋でひとり晩酌をしました。

なんて幸せな時間。

大きな観光地を巡ったわけではないけれど、思い返すと、素晴らしく満たされた旅でした。

京都府内には、まだ見ぬ場所、触れていない場所がたくさんあります。これからも、電車で片道2時間くらいの範囲で、京都府内のいろいろな場所に行きたい。理想は、月に一度くらい。おいしいものを目的にして、一泊して、ひとりの時間を過ごす。

今回の和知時間は、その楽しみ方を思い出させてくれる小さな旅でした。

Text / 池田園子

【関連本】『丹波篠山

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